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惚れた弱味
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「好きになってから、半年じゃん?」
「何言ってるのですか?静雄さん?」
この人は、いつも、そんな事を言う。
何故だか、知らないが。
この人は、また、夢の話をした。
「俺さ、女の子でさ、お前の事、興味あってさ」
何でか、それを聞くたびに
「なるほど…」
って、思っていた。
少なからずは、この人の考えを尊重しようと、思う。
「俺の事が、好きでさ…でね?」
何でか、この人は、悲しそうに、そう言った。
「愛してるって、重いよな?」
なんて、言われて。
どうすればいいか、分からなかった。
だけど。
「好きなら、コクる?俺の事」
素直じゃなかった。
凄く悲しかった。
この人が、これからも。
これから、一生、誰かに取られるのでは、ないかと。
そう、思っていた。
「あいつがさ…」
また、か。
また、その人の話しか。
今でも変わらない。
胸に、トキンと、音が、鳴った。
良く、分からなくて、良いと思った。
その方が、良いと、思った。
「好きなの?」
「うん」
それを、聞いて、あぁ、この人は、この男の人は、自分で、自負しないんだなって、思った。