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三男の悲しみ
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スーパーにてお菓子の買い物を済ませ、お菓子作りは翌日にしてその日就寝した
翌日…
『ふんふんふーん♪』
朝、一番早く起きて朝食を作っていると、三郎くんが起きてきた
「ふわあ…おはようございます、みのり姉…」
『あ、おはよう三郎くん。今日は三郎くんが一番だね』
「そうなんですね」
欠伸をしながらダイニングの椅子に座る三郎くん
『はい、麦茶』
「あ、ありがとうございます」
私がお茶を出すと慌ててお礼を言う三郎くん
『…どうしたの?なにかあった?』
なんだか様子が変だ
「…実は、嫌な夢を見てしまって…」
三郎くんは、今は誰も居ないからか苦笑しながらそう話してくれた
『んー…そっかそっか』
私は朝食を作るのを中断し、三郎くんの隣の椅子に座ると、三郎くんをそっと抱き寄せ、頭を撫でた
「え!?みのり姉!?」
『よしよし』
「ぅ…」
しばらくそうしていると
「…ありがとう、ございます…」
すん、と、涙を啜る音が聞こえた
三郎くんはまだ中学生だもんね
いろいろ悩みごともあるよね
でも親も居ないし、相談もできないよね…
『…ねぇ、三郎くん』
「…なんですか?みのり姉」
小さな声で返事が返ってきた
『独りでかかえこまないでね』
「ッ!」
そう言うと、また鼻を啜る音が聞こえてきた
そのまま、しばらく二人寄り添っていたのだった
+三郎Side
夢を見た
両親が僕たちをおいて出ていってしまう夢を
あのときのことなんて、もうとっくに忘れたはずなのに
瞳を開くと涙が一筋流れた
僕はそれを隠して欠伸をしながらまだ朝早いダイニングへ起きていった
みのり姉もう起きてるのかな…?
そう思いながら行くと、もう朝御飯の準備をしているらしく、
『ふんふんふーん♪』
と鼻唄を歌いながら朝御飯を作っていた
平静を装ってダイニングへ向かう
「ふわあ…おはようございます、みのり姉…」
『あ、おはよう三郎くん。今日は三郎くんが一番だね』
「そうなんですね」
欠伸をしながらダイニングの椅子に座る僕
『はい、麦茶』
「あ、ありがとうございます」
みのり姉がお茶を出してくれたので慌ててお礼を言う
…でもどうやら、僕は平静を装えてなかったみたいだ
みのり姉に聞かれた
『…どうしたの?なにかあった?』
少し迷ったけど、ここには二郎もいないし、一兄もいない
だから話すことにした
「…実は、嫌な夢を見てしまって…」
そう話すと、みのり姉はきょとんとしてから、少し悲しそうに笑って
『んー…そっかそっか』
朝食を作るのを中断し、僕の隣の椅子に座ると、僕をそっと抱き寄せ、頭を撫でた
最初は恥ずかしかったけど、だんだん、それがどうにも優しくて、優しくて…
涙を堪えるのに必死だった
「え!?みのり姉!?」
『よしよし』
「ぅ…」
しばらくそうされていると
「…ありがとう、ございます…」
そういうのがいっぱいだった
『…ねぇ、三郎くん』
「…なんですか?みのり姉」
小さな声で返事をした
『独りでかかえこまないでね』
「ッ!」
ああ…みのり姉はなんて優しいんだろう
こんな人と出逢えて良かった
三男の悲しみ
(朝の悪夢)