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あなたに好きと言われたい(実彩子夢)
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高校の時に仲良くなった
親友の実彩子ちゃん。
気付けばいつも一緒にいて、
いろんな実彩子ちゃんを見ていく内に
気づいたら恋心に変わっていた。
けどきっと、
実彩子ちゃんが
私に振り向くことはないと思う。
隣のクラスの
西島くんと付き合ってるから…。
「不思議だね、
優津羽には何でも話せちゃう」
その言葉が、
その笑顔が、
どれだけ残酷か
実彩子ちゃんはきっと知らない…。
これで良いんだ。
言って離れてしまうくらいなら
自分のキモチに蓋をする。
ずっと傍にいたいから…
たとえ“親友”としてでも…。
もしも西島くんになれるなら、
私だって実彩子ちゃんを選ぶよ…?
「実彩子ちゃんなら大丈夫だよ!
西島くんも不器用なところが
あるだけだよ」なんて
2人が喧嘩をした時も
本心ではそんな事
全然思ってないのに、
無理に笑顔を作って相談に乗るフリして
“親友”として応援していた。
実彩子ちゃんを守るためって思ってたけど、
本当は自分が傷つきたくなかった
だけなんだと思う。
夜中に電話が来た時も
「急にごめんね」って
いつもの声で、
ほんとにずるい。
傍にいられないなら
優しくなんてしないで…。
それから月日が流れ、
私が専門学校を卒業した数日後
一枚のハガキが届いた。
どうやら
実彩子ちゃんと西島くんの
結婚が決まったらしい。
『おめでとう』
心では思っていても
まだ素直には祝福出来ない自分もいる。
ダメ元で、あの時告白してたら
何か変わったのかな…?
「友達としてでしょ? 笑」って
笑ってくれたのかな…?
嘘でも良いから
抱きしめられたかった。
好きって
言われたかった…。
おめでとう実彩子……。