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07
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『新曲発表?』
「はいッ!オレ、すっごく楽しみなんです」
『成功すると良いですね……。ううん、思いっきり楽しんで来て下さい』
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痛い、痛い。
肺に泥でも詰まってるかのような、重苦しさ。
呼吸する度に、内面を暴れ回る鈍痛は時間を追うごとに増す。
『__ッ…』
まるで、そんな心境を表すかのように鼠色一色で覆われた曇天は今朝から絶え間なく雨粒を降り注いでいる。確か、陸君のアイドルグループの曲発表は今日じゃなかったっけ?
外でするのかな?それとも屋内?
どっちにしろ雨は人足を少なくしてしまうからね。
ああ、夕方には晴れればいいな。
あの子の折角の晴れ舞台が台無しじゃあないか。
『……ふふ』
こんなに成ってまで人の心配が出来るようになったなんて、不思議だ。
いつもは自分の事だけで一杯一杯だったのに、痛みを除けば異様に気分は落ち着いているんだ。
陸君、のおかげかな。
_ヴヴッ
マナーモードの携帯が震える。
折角買って貰ったのはいいけど、扱い方を良く知らない僕には手に余るものになってしまった。
きっとメールが届いたのだろう。返事、返さなきゃ。
やっぱり釦式の方が慣れていたなぁ…。
『ゴホッ…!…』
文字が打てなくていつも絵文字ばっかりになった内容だし。
でも、これから慣れて行けばいいかな?陸君ともメアド交換したし。
『ご、め…、…ん』
(___りゅう)
明日、返事するから……。