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具合が悪い時は、大抵昔の夢をみる。
それが悪夢だとか、幸せな夢だとかは解らない。
ただ、過去の自分と言う映画を見ているように鮮明に、思い出されるのだ。
それでも映画でも味わえない磯の香りだったり、うだるような暑さもしっかり思い出すのだから不思議なものだ。
__僕が、りゅうと出会ったのは確か小学生の頃。
親の転勤で各地を転々とし、やっと落ち着いたのが沖縄だった。
僕は生まれつき病弱じゃない。詳しくは覚えていないが、確か病気を発症したのが幼稚園頃。
それからと言うもの病弱になる一方な僕に両親は暫く沖縄に留まる決意をしたらしい。
有名な先生がいたとかいないとか。
そして行き先であったのが十一家って訳。
奇遇なことに、りゅうの父親と僕の父が高校時代の友達だったらしく、両者の子供が歳も近いと分かれば家族ぐるみの付き合いに進展するのは早かった。
入院退院の繰り返した僕は、当然コミュニケーションが苦手で転校した先では友人関係が良くなかった。
でもいじめとかではなく、皆何処か一歩引いたように接してくるのを稚心に覚えている。
りゅうも好奇心で話しかけてきた一人に過ぎなかった。同じ班に誘われたり頻繁に話しかけてきたり、父親の友達の子だから仲良くするのだろう、と過去に僕は怒ったんだ。
会話が苦手なこんな僕に話しかけてくれるのは、親から言われているからだろう?と。
戸惑いや自分自身の情けなさにりゅうに八つ当たりしてしまったのだ。
怒りをぶつけられた当の本人は、「オレが(名前)君と話したいだけだよ、親なんて関係ない」と慣れないぎこちない標準語で笑ったのだった。
そこから始まったのだ、十龍之介と十束(名前)の出会いは。