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彼とチョコ
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今日は何となく生徒全体が浮き足だっている…ような気がする。
何故ならバレンタインなのだからだ!!
私も鞄の中に彼氏のミヤくんに渡すチョコが入っておりちょっとドキドキしている。
ミヤくん喜んでくれるかなぁ。
そんなこと思いながら歩いていると近くを歩く女子の会話が聞こえてきた。
「私チョコレートケーキ作ってきたよ!!」
「すごっ!!気合い入ってるね!」
「彼氏のためだもん。これくらい普通っしょ。」
え…ケーキ…。
何となくそれ以上聞きたくなかったのでその女子達を抜かす。
更にまた別の女子から会話が聞こえてきた。
「ちょっと高過ぎじゃない?有名ブランドのチョコでしょ?」
「奮発しちゃった。感謝の気持ちをこめてってことで。」
もう誰の会話も聞きたくねぇ。女子力高過ぎだろ。
私は走って学校へと向かった。
「あれ?早いね。」
この声は…と思い振り返るとやはり…
「あ、ミヤくん…。」
「どうしたの?何か急いでるみたいだけど。」
「えーと日直だったような気がして。」
「日直一昨日もしてなかった?」
「間違えた!委員会があって…。」
「そっか。あんまり急ぎ過ぎて転ばないようにね。」
「うん!!ありがとう。じゃあね。」
そう言って足早に去る。
ミヤくんごめんね!!委員会は嘘です!!
どうしよっかな。回りの女子があんなにチョコにこだわるなんて…。
私も努力はした。でも、私は想像を越える不器用だったのだ…。
だから他の女子と比べられたら…。
「おーい!!」
「ミヤくん!どうしたの?」
さっき追い抜かしたはずのミヤくんが私に追いついて来ていた。
「オレも手伝うよ。ちょっと気になっちゃったから。」
なんて優しい人なの…。
嘘ついてごめんなさい。
「あぁ。委員会はさっきメールがきて来なくてもう良くなったって。」
「そうなんだ!!じゃあせっかくだし一緒に行こうよ!」
そう言ってさりげなく手を繋ぐミヤくん。
自然な仕草に私はきゅんとしてしまう…。
渡すのには今が絶好のタイミングかもしれない。
「ミヤくん。あのね。これ…。」
「え!これ!!チョコだよね!ありがとう。開けてもいい?」
「うん。でもね…えーと上手くいかなくて、どうしても手作りしたくて…。」
ミヤくん箱を開けた。中には私が作ったハート型のチョコ。
「ごめんね。こんなので…」
おそるおそるミヤくんの顔を見ると何だか嬉しそう…?
「ありがとう!!すごく嬉しい!!ハート型のチョコ大好きなんだ!!」
「え!本当に!気を使ってない?」
「本当だってー!!君が不器用で逆に良かったくらいだよ。」
何だかんだ成功したのかな…。良かった。
「まぁ君からならどんなチョコでも嬉しいけどね。」
そう言ってミヤくんは笑って私のおでこにキスをした。
「ミヤくん!!」
「ごめんごめん。ちゃんとしたお礼はまたするから。」
そう言ってミヤくんは笑うのだった。