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「………おい、お前何で何もしねぇんだよ」
床に散らばった対超生物用BB弾を片付けているとク隣の席(とは言っても1つ空席を空けての隣)の寺坂くん、吉田くん、村松くんに声をかけられた。
「おはようございます、寺坂くん吉田くん村松くん。何か?」
「何かじゃねぇよ。てめぇ……殺る気あんのか?銃を構えもしねぇで」
「えぇ、ありませんけど?それが?」
「100億欲しくねぇのかよ?」
吉田くんに尋ねられる。まぁ……
「別に。入り用はないですし、無ければ稼げば良いだけですので……ちなみに月が爆破されようが、地球が破壊されようがどうなろうとかどうでも良いといいますか……」
今ある貯金と資産を運用すれば良いだけですし。それで生きていけますし。
地球が爆破されてもどうせ死ぬだけ。なにもできないし。
「あ?どうでも良い?」
片眉を上げ、更に質問を重ねる寺坂くん。話が長くなりそうなので、近くで共に作業していた菅谷くんと奥田さんに一言断り寺坂くん達に向き直る。
「はい。だって月が爆破された事で何か不都合が生じましたか?別に地球が終わるくらい良いじゃないですか。宇宙では惑星の1つや2つ毎日終焉を迎えてます。それが来年の3月だって話なだけですよ?何事もいつかは終わりがくるんです。騒いだところでどうにもならないかと」
「アイツを殺しさえすればとりあえず来年の3月で地球が終わらねぇじゃねーか」
と、村松くんに返される。そう言うけれどみんな根本が分かっていないと思う。
「そもそもの話、何で私達が地球を救わなければならないのですか?国家に、世界中の人に義理立てする理由も義務もないのに。寺坂くん達は、国に家族でも人質に取られてるんですか?あの───担任教師を名乗り、言語を解するあの超破壊生物を殺さなければ家族を殺すとでも脅されているのですか?」
「別に、そうじゃねぇけど」
「そうですよね、それは私もです。この暗殺の依頼契約は自由意志に基づくモノですよね?ならば暗殺したいのならしたい人達でやれば良いじゃないですか。したくないのであれば仕方ありません。記憶消去の措置をして頂いた後、この学校を去るしかないでしょう。他に行く場があればですが。生憎、私はここを出たとしても行く場がないので、守秘義務を守りつつこの教室で過ごしているのです」
中学3年の今更転校しても手続きやら面倒だし、周りの人の好奇の目に晒されるのがイヤだ。
それに、そんな事をあの人達が許すはずがない。
「まどろっこしい。つまりなんだよ」
「………今の所、私の中に暗殺をする必要性が無いため行いません。それが今の私の意志です。コレで満足頂けたでしょうか?」
最後にとびきりの笑顔を向ければ寺坂くん達は何を言い返す事なく席に戻っていった。
そして予鈴がなり、1限の準備に移った。
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