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「昼休みですね。先生ちょっと中国行って麻婆豆腐食べてきます。暗殺希望者がもしいれば携帯で呼んで下さい」
4限の英語が終わり、昼休みを告げるチャイムが鳴ると先生は教室の窓から飛び出した。
「マッハ20だから……ええと」
「麻婆の本場四川省まで10分くらい?」
「確かにあんなもんミサイルでも落とせんわな」
昼休みは45分。マッハ20だとゆっくり食べて帰ってこれる時間。
1時間で海外旅行ってなんか、凄い。
「しかもあのタコ音速飛行中にテストの採点までしてるんだぜ」
「マジ!?」
「うん。俺なんかイラスト付きでほめられた」
「てかあいつ何気に教えるの上手くない?」
「わかるー。私放課後に暗殺行った時、ついでに数学教わってさぁ。次のテスト良かったもん」
「……ま、でもさ」
「しょせん俺らE組だしな」
「頑張っても仕方ないけど」
そう言うみんなの顔は何かを諦めたかのようにどんよりと下を向いた。
そう。タコ型の超生物で暗殺の標的なのに、あの先生は何故か普通に先生してる。
私(参加していないけど)達も同じ即席の殺し屋であるのを除けば普通の生徒……けど、このE組は少しだけ……普通と違う。
「……おい渚」
「ちょっと来いよ暗殺の計画進めようぜ」
「……うん」
寺坂くん達に声をかけられた潮田くんは彼らについて教室を出て行った。寺坂くん達と潮田くんって組み合わせ珍しいと言うか、なんか……イヤな感じがする。
そう、感じたけれど私が行ったところで何ができるでもないのでスルーしお弁当を開けた。
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