-
▽
-
「…………暗殺しないで帰っちゃったよ東西南北さん。本当に暗殺するつもりないのかねー?」
「いえ、キチンと東西南北さんも暗殺して行きましたよ。───ほら」
校舎を出て行く東西南北さんの後ろ姿を見ながら言う前原君に殺せんせーは違うと言って東西南北の提出した短歌を見せてくれた。
【学び舎に 飛び舞う桜の 行く先は 共に散った 触手なりけり】
───教室で飛び舞っている桜は触手と共に散ったそうだ
んー?どうやったらこれが暗殺の短歌になるんだろう。
「飛び舞う桜を対先生用B.B弾に例えていますね。ソレと触手を先生と連想させている。物理で先生を殺せない代わりに短歌の上で先生を見事殺しましたね」
直接的表現ではないこの趣向に僕は驚きを隠せなかった。
「わー……なんか、目の付け所が違うって感じ」
「流石、学年トップ2の頭脳は伊達じゃないか。て言っても元?になるのかなー」
「あの近づき難い雰囲気がまた、良い………」
「殺せんせーの登場にも驚いたけど、〝あの〟東西南北さんがE組にいた事も驚いたよね〜」
先生の解説から東西南北さんの話題になった。
「??東西南北さんは此処のクラスではなかったのですか?」
先生が不思議そうな顔をする。と言っても表情はあまりないんだけど…
「あー…説明するとね。このクラスって2年の終わりからスタートするんだけど。東西南北さんは4月から、3年生になってから転属になったんだ。元々はA組だよ」
「そうなんですか……」
説明すると先生が何か思う事があるのか呟いてから再び表札磨きに戻った。
あれ、東西南北さんって表札持って帰ったっけ……?
.