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助けに来れば救出する間に撃たれて死ぬ
見殺しにすれば〝先生としての〟あんたは死ぬ!!
────おおすっげ走馬灯っぽいの見えてきた……!!!
『────大丈夫先輩?3ーE………あのE組?大変だねそんな事で因縁つけられて』
『お前、こんな事して大丈夫なのか……?』
『うん?俺が正しいよ?いじめられてた先輩助けて何が悪いの?』
『いいや赤羽。どう見てもおまえが悪い』
『………え』
何でだよ、先生。俺、イジメられてた先輩助けたのに?
『頭おかしいのかおまえ!!3年トップの優等生に重傷を負わすとは!!』
『え、待って。待ってよ、先生』
明らかに向こうが先に手を出してた。何故か助けた先輩は無抵抗で反撃すらしてなかったけど。
正当防衛しただけだよ、被害者の先輩の代わりに、
『E組なんぞの肩を持って未来有る者を傷付けた。彼の受験に影響が出たら俺の責任になるんだぞ』
俺の、責任………?
味方とか言っといて………そんな事言っちゃうんだ。
俺の中で何かが崩れ落ちていく感覚がした。
『おまえは成績だけは優秀(正し)かった。だからいつも庇ってやったが俺の評価に傷がつくなら話が別だ。俺の方からおまえの転級を申し出たよ。おめでとう赤羽君、君も3年からE組行きだ』
………やばい死ぬ。俺の中で、先生が…死ぬ。
生きていても人は死ぬってその時知った。
そいつの全てに絶望したら………俺にとってのそいつは死んだと同じだ。
殺せんせー!!
あんたは俺の手で殺してやるよ!!
さあどっちの「死」を選ぶ!?
──── ば ふっ
何かの上に落ちる。でも、そこに痛みは無くて。
「……えっ」
「カルマ君。自らを使った計算ずくの暗殺お見事です。音速で助ければ君の肉体は耐えられない。かといってゆっくり助ければその間に撃たれる………そこで先生ちょっとネバネバしてみました」
落ちた先は先生の手?……触手の上。
………くっそ 何でもアリかよこの触手!!
銃を向けようと腕を挙げるが、身体がねばっと引っ付いて取れない。
「これでは撃てませんねぇ。ヌルフフフフフフ………ああ、ちなみに〝見捨てる〟という選択肢は先生には無い。いつでも信じて飛び降りて下さい」
先生の言葉に悟ってしまった。
「………………はっ」
────こりゃダメだ。死なないし殺せない。少なくとも………───〝先生〟としては。
先生に引き上げられて唖然としていた渚くんが目に入る。
「………カルマ君平然と無茶したね」
「別にぃ………今のが考えてた限りじゃ一番殺せると思ったんだけど、しばらくは大人しくして計画の練り直しかな」
「おやぁ?もうネタ切れですか?報復用の手入れ道具はまだ沢山ありますよ?君も案外チョロいですねぇ」
……俺がチョロいって言ったの根に持ってたのかよ。器ちっさ。しかも小馬鹿にしたこの態度──………殺意が湧いてくる。けど……さっきまでとなんか違う。
「殺すよ明日にでも。………帰ろうぜ、渚く「何をやっていたんですか、赤羽くん。何を傍観していたんですか、潮田くん」
帰ろうとした矢先、冷たくコチラを見つめる學瀬に行く手を阻まれた。
「東西南北、さん……!?」
あーららー?なぁんか、學瀬怒ってる?