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毒の時間
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「お菓子から着色料を取り出す実験はこれで終了!!余ったお菓子は先生が回収しておきます」
理科の実験で使用したお菓子をほぼ強制的に没収された。
新商品だったのに、一口も食べてないのに………
「給料日前だから授業でおやつを調達してやがる。あれ買ったの俺等だぞっ!!」
「地球を滅ぼす奴がなんで給料で暮らしてんのよ」
てか、ウチの教師の給料は必要十分に支払われているはずなんだけどなぁ………言い方が悪いけど、学校経営としては儲かっているから割といい額もらえてると思うんだけど。
ため息をついていると、一人の生徒が殺せんせーの前へ来る。
「あ……あのっ先生………毒です!!飲んで下さい!!」
───え…………はぁ?
クラスメイトはみんな揃って唖然とする。
「………奥田さんこれまた正直な暗殺ですねぇ」
「あっ………あのあの!わ、私!皆みたいに不意打ちとかうまくできなくて………でもっ 化学なら得意なんで真心こめて作ったんです!!」
───お、奥田さん……それで渡して飲むバカはさすがにいないと思うんだけど………
「それは、それは……ではいただきます」
目の前に、飲むバカがいた。
「!! こ……これは………」
と震えだす。
───にゅるんっ
なんかツノが生えた。
「この味は……水酸化ナトリウムですね。人間が飲めば有害ですが、先生には効きませんねぇ……」
効かない割には凄い変化してるけどそれはどうなんだろう……
「……そうですか」
「あと2本あるんですね、それでは」
「は、はい!」
「うっ……うぐあっ……ぐぐぐ…………」
────バサァッ
今度は羽生えた!!えー何この変化……
「酢酸タリウムの味ですね。では最後の一本」
ここまで来るとみんなも気になるのか先生の変化に注目した。
真顔になった……?
証明記号の∵(なぜならば)なんだけど……え、どういう事なの……
「王水ですねぇ。どれも先生の表情を変える程度です」
「………はい……………」
「てか先生 真顔薄っ!!顔文字みてーだな!!」
「先生の事は嫌いでも暗殺の事は嫌いにならないで下さい」
「いきなりどうした!?」
何かその台詞この間見たアイドルの総選挙の中継で聞いたような………?
まぁ、いいや。取り敢えず、殺せんせーには劇薬や毒は効かないらしい。
「それとね、奥田さん。生徒1人で毒を作るのは安全管理上見過ごせませんよ」
「………はい、すみませんでした………」
「放課後時間あるのなら一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう」
「……は、はいっ!!」
奥田さんと先生の約束が交わされた。それにしても……
「……暗殺対象と一緒に作る毒薬、ねぇ?良いように利用されなきゃ良いけど」
なんか、奥田さんってこう……チョロそうというか、人が良さそうな感じなんだよなぁ………