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「………そう言えば、明日からE組に新任の教員が配属されることになった」
………危うく洗っている皿を落としそうになった。
私に話しかけるなんて滅多にないのに。珍しい。
ちなみに兄は早々に自室へ退散していた。
「あ、そうなんですか」
5月のこの時期になると………政府がしびれを切らして送ってくる刺客って事、かな。それよりも、
「あの………何か、御用でしょうか?あ、お夕食の味が至らなかったでしょうか?それとも、学校生活で何か粗相を?」
用件済ませたら早々と自室に下がるのにどうしたのだろうか。
「あー……いや、E組でうまくやっているか気になってね。彼らに迎合しているようでは成績なんぞ伸びないからね」
あー……そういう事。
「………いえ、別に何も無いですよ。粛々と勉学に励んでいます」
恥の上塗りをしていないか、の確認でしょう。
「………なら、次回の中間楽しみにしているよ」
そう、一言残して理事長──父はリビングから出て行った。
なんか、含みがあったのは気のせいかな………