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好きなもののたとえ
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その日、一敏は、言っていた。
「俺に、惚れてるなら、俺の方に居ろよ」
と、言っていた。
よく分からなくて、一敏が、心配で、その日は、俺は、言った。
「一敏、大丈夫か?」
そしたら、腕をあげて、石壁に向かって、ガーンと、音を立てた。
びっくりした、俺は、立ち上がって、大丈夫か?手は?腕は?って、言った。
そしたら、一敏は、言った。
「お前の方が、一番、好きなんやけど?」
って。
その事に、ついてなると、誰かしら、それか、クラストメイト…または、先生にでも、言われたのだろうかと、悟った。
「そんなのいいから、手見せてみて?」
そう言ったら、一敏は。
あぁ、ありがとうと、言って、手を差し出した。
血だらけの手を手にして。
「大丈夫か?結構痛そうだけど?」
「大丈夫、これしきの事だ」
って、言ってた。
怖くなって、俺は、持っていた、絆創膏を差し出した。
「その…これ、貸すから、つーか、あげるから、どう?それか、貼ろうか?」
などと、言って。
そしたら、一敏は。
ありがとう、すごく、幸せだ。
なんて、言っていた。
よく分かりたくもなくて。
どうしようもなかった。
一敏に、言われた、ありがとうを知って、胸が、むず痒くなった。
怖いよりは、苦しかった。