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私と船瀬捺菜について
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私は日本に数少ない、属に言うエリート中学校に入学ました。小学校の頃から夢見ていたこの学校での生活は、まさに夢そのものでありました。周りの同級生は無論エリートで、私は小学校の頃の成績など中学校に入ってからお目にかかったことはありません。エリート校ですから勉強をしなくても満点を取れてしまうような小学校のペーパーテストと点数がかけ離れていても何のおかしいことでもありません。でも、私はその真実を真っ直ぐに受け止められませんでした。今まで期待されていた私は家族からも期待されなくなり、クラスを引っ張っていくような存在だった面影は自分ですら分かるぐらいゼロに等しいものとなりました。誰からも期待される人は大変ですが、期待されない方がよっぽど辛いものはありません。しかし、そんな堕落した人生にも生き甲斐と言うものは何かしらあるものです。私には一人の親友がいます。彼女は船瀬捺菜。人見知りな私に初めて声をかけてくれた方です。私は早見沢愛子と申しますから、『あーちゃん』とハツラツとした声で良く後ろから肩を叩いてくるものです。また、彼女は大変美貌の持ち主でした。しかし彼女自身恋愛には興味がないようで、正に宝の持ち腐れと言うものでした。私は気がつけば、彼女を見に学校に言っている自分がいることに気がつきました。そして時が経つにつれ、彼女を想像して千鳥を行う自分が仕上がっていました。内面、外見、全てにおいて完璧だった彼女は、私にとっての全てになり、生き甲斐でした。
私は今日捺菜と遊ぶ約束をいたしました。町内に最近はやりのスイーツのお店がオープンしたらしく、そこに行くことが今回の目的です。流行に鈍い私は、おしゃれで美しい彼女に恋心を抱いていることをグッと抑え、スイーツ店へと足を伸ばしていきました。近頃、近くに人気のパン屋もオープンし、車の通りも激しいものでした。丁度、小さな道路に差し掛かった時でした。私の前を歩いていた捺菜が大型トラックに跳ねられたのでした。その時のゴンッと言う音は今でもはっきりと耳に残っています。その後私は、助けにいかなければ と思い捺菜に近寄ろうとした瞬間、トラックはいきなり前進し始め、私の目の前で捺菜は赤黒い血を跳ね上がらせました。トラックの運転手は轢いたことをバレたくなかったと後々告げました。直ぐ様震える手で救急車と警察を呼び、無事に犯人は捕まりました。しかし跳ねられ、轢かれた捺菜は無論生きていることはありませんでした。あの時、トラックが前進しなければ死ななかったかもしれない。もう一緒に遊びことができないと思うと、生きている意味が見当たらなくなりました。