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学園祭2
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11月初旬の今日この日。
私たちの通うこの私立欧亜学園高等学校では年に一度の学園祭が開催されていた。
普段は静かなこの学校でも、焼きそば、クレープ、女装男装喫茶など各教室を使ったよくある模擬店や有志による体育館でのライブ、多目的教室等での各部活動やサークルによる展示や発表、校内放送による展示物や出し物の案内やブースのPR、とおおよそ平均的と思われる学園祭の光景が繰り広げられている。
学校全体がそんな盛り上がりをみせる中、基本的に協調性の欠けたメンツの揃ったうちのクラスは“町内の歴史”という誰得テーマを模造紙にまとめて適当に教室に貼って当日は各自自由行動、ということになっていた。
しかもまとめといっても自治体の公式サイトや某ウ●キペディア先生の該当記事をコピペしてほぼ丸写ししただけなので準備期間中に私のしたことといえば先生特有の語尾をですます調の丁寧語に改変しただけである(著作権の問題があるとかで担任から完コピ禁止令が出されていたのでそれに対してのよくある抵抗だ)。
よく“学園祭準備中に恋が芽生える”、なんて言うけどそんな味気ない作業で甘いお約束なんてあるはずもなく。
「ほらもう!言わんこっちゃないヨ!」
「あーあ、だからあれだけ窓開けとけって言ったのに。」
「つーかこのゴミの山どーすんだよ的な。」
我が1年4組の教室では密室で大量の色紙にサインをしていたヨンスくんがシンナーの吸い過ぎにより保健室に運ばれるという惨状だけが残った。