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ブラック派の彼は私の前ではミルクを欲しがる。
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部屋着に着替えてリビングへ向かうと、真子がテーブルの上に先ほど作ったと思われる料理を置いていた。
「何作ったの?」
「冷蔵庫のあるもんでテキトーに炒めたやつ」
なんとも彼らしい回答だ。
しかし、見た目はなかなか美味しそうだ。本当に冷蔵庫の余り物で作ったとは思えないレベルだった。
「真子って料理出来たんだ」
「はっ。俺を誰やと思てん」
「んー、平子真子(偽物)かな」
「本物やっ!!!」
相変わらずキレのいいツッコミは、彼が関西育ちだからだと思う。
冷めんうちにはよ食べた方がええで、と言いながら真子は私に箸を渡してくれた。
肉野菜炒めかな?
一口程の量を口に入れてみた。
うん。なかなか美味しい。
ご飯に合う。箸が物凄いスピードで進む。美味しくてあっという間に食べ終わってしまった。
真子はというと、隣で退屈そうな顔でテレビを見ていた。
「この時間のテレビって面白いのないねー」
「せやなぁ、、、ってもう食い終わったんか?!」
そんなに早かっただろうか。
別にいつもより少し早いくらいなんじゃないかと思うが、真子からしたら早かったようで。
驚きながらボソッと、バケモンやなって言うから思いっきり腹パンかましといた。
「うっ、、ちょ、堪忍、、、」
「私がバケモノなら、真子は変態よ」
この男ったら相変わらず一言余計なのよ。
さっさと寝よう。真子なんて置いてっちゃえ。
私は寝室へ行こうと立ち上がろうとした。その時、隣で横たわってたはずの真子が私の腕を引っ張ったせいで、私が真子の上に乗っかってるようになってしまった。
「ちょ、、、何してんのよ!危ないでしょ!」
私は真子の胸を叩いて、早く退こうともがいてみるものの、ガッチリ腕で囲まれてていてどうにも退けそうにない。
「誰が変態やて?」
「真子のこと!いいから話して!」
余裕そうな顔で私を見つめる真子。
ムカつくけど、かっこいいと思ってしまった。
「ふーん。今はどっちが変態やろなぁ。人の上に乗っかってるくせによく言うわ」
前言撤回。
やっぱこいつムカつく。まったくかっこよくない。
「いい加減に、、ってうわ!!」
突然、目の前の景色が変わった。
真子の顔は目の前にあるのだが、その後ろは天井が見える。
真子が私の上に乗っかってる状態になってしまった。
ヤバいこれでは逃げられない。
どうしてだろう。凄く心臓がドキドキする。
多分、凄く顔も赤いと思う。
「久々に会うたんやから、もっと杏の顔見てたいねん」
狡い。こうなるといつも真剣な顔でこういうことを言ってくる。
心臓が持たないよ。
「杏 、、、、ほんまかわええなぁ」
「うるさい、、、」
「強がっとるとこもかわええで」
「うるさい、、、」
「なぁ、好きやで」
真子が自分から好きって言うときは、好きって言って欲しいんだよね。
知ってるよ。
「私も好きだよ」