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甘いものは程々に
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久々に彼氏と会っているというのに特に何もしないのは、お互いこの関係が長いからだろう。
真子と付き合って5年。
特に大きな喧嘩もせず、平和に付き合ってきたと思う。
前は二人で買い物や観光など行ってたが今はすっかりお家デートが定着してしまった。
しかも二人で何かするのではなく、お互いがやりたいことをやって、なんとなく喋りたくなったら喋る。という時が多い。
むしろそういう時しかない。
本当にカップルなのかと自分でも問いたくなる時がある。
というかその時が今だ。
ちなみに私は今、今月の女性ファッション誌を読んでいる。
いや、正確には読んだふりだ。
流し読みしてたのだが、ふとあるページに『今どきのカップル事情』という特集があった。
気になったので読んでいくと、、、、。
最低でも週1回は会う。
とか
お家デートは二人で料理をする。
とか
挙げ句の果てには
久々に会ったとき夜の営みは必ずする。
とか、、、、。
そりゃ、まぁ凄いことがいろいろ書かれてて、見てる読んでるこっちが恥ずかしくなってきたので次のページへ進んだのだが、さっきの内容が頭から離れないのだ。
にしても、、、私たちとは次元が違いすぎる。
どうゆうことだ。今まで私たちの関係は普通だと思っていた。
最低でも週に一回は会う??私たち3週間ぶりに会いましたけど?
二人で料理も考えられない。昨日まで真子が料理出来ること知らなかったし。
夜の営み???
…。
最後にしたのいつだっけ。
久々に会った昨日は真子から…。
「やっと仕事の山場が終ったんやろ?もう今日はゆっくり寝るか」
と、言ってくれたので何もせず寝た。強いてならキスくらいだ。
これは、ヤバいのか????
もう熟年夫婦のような関係になってしまったのか?
考えれば考える程、私たちの関係は、実は終わりに向かってるのかもしれないと考えてしまう。
不安からか雑誌を持っている手が強ばる。
、、、、不安になってきた。
「顔、般若みたいになってんで」
「ギャーー!!!!」
突然、視界に真子の顔がドアップで見えたもんだからつい叫んでしまった。
「ギャーってなんやねん。ギャーって。もっと可愛らしくキャーって言えへんのか」
眉間に皺をよせて大きなため息を吐く真子。
「うるさいなー、こっちは真剣に悩んでんのー」
真子は私が背もたれにしていたソファーに思いっきり体を沈めた。
「どんな悩みや」
真子はそう言って先ほど淹れてきたと思われるコーヒーを持つと、私を見下ろしながら呆れた顔してくる。
「どーせしょーもないことやろ」
なんて言った??
しょうもない?
私にとっては全然しょうもなくない。
これは一大事なのだ。
「ねぇ」
「ん?」
なんて言おう、、、。
最近いつエッチしたっけ?
いや、これを今聞くのは気まずい。
私と居て楽しい?
んー、、なんか重くない?
私のどこが好き?
んー、、これも重いよなぁ、、、。
話しかけたは良いものの、その先の言葉が見つからず、ずっと俯いてしまう。
すると、真子は私と目線を合わせようとしてれたようで、ソファーから降りて、私と同じでソファーを背もたれにして隣に座ってきた。
「ええから言うてみ」
頭をポンポンと撫でて、横から顔を覗き混んでくる。
こうなってしまったら言う言葉なんて考えちゃだめだ。
とりあえず思っていること言うしかない。
これは、、、言うしかない。
言おう、、、。
「私たちなんで付き合ってるの。」