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まずは豆から
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つかの間の休日も光の速さで過ぎ去って行き、今日からまた地獄の1週間が始まった。
とは言っても先週で山場を終えたので今週はゆっくり仕事をやりたく、早速有給を使って午後出勤にしてもらった。
そのお陰で通勤ラッシュに遭遇せず、とっても楽に出勤できた。
「あら杏じゃないの」
「杏さん!待ってましたよ!」
ラウンジの前を通りかかったとき、二人の女性に声をかけられた。
最初に声をかけてくれたのは、私の先輩の松本乱菊さん。ナイスバディで大人の色気を24時間振り撒いてる人だ。
次に声をかけてくれたのは私の後輩の雛森桃ちゃん。同じ部署の部下で、小柄で女の子らしくてみんなの癒し的ポジションの子だ。
「待ってたって、今日なんかあったっけ?」
「乱菊さんが杏さんに用事があるみたいなんです」
「なるほど」
どうせ大した用事じゃないことはわかってる。
だって乱菊さんだもん。
「油売ってると上司の日番谷さんに怒られますよ」
「ちゃんと杏と桃に用事があって来たのよ!」
バレないようため息を吐きながら、そっとソファーに座ったと同時に桃ちゃんがコーヒーを持ってくると席を立った。
気が利く後輩だなぁ、本当にいい子だ。
「ねぇ杏、今夜何してる?」
「んー、特に何も入ってないですよ」
「じゃぁー今夜呑みに行くわよ」
やっぱり。
乱菊さんからのお誘いといったら、ランチか呑みだ。
「私に拒否権無いんですよね」
「あらよくわかってんじゃない」
丁度、桃ちゃんも戻ってきて、杏さんも行きましょ!と言うのでこれは行くしかない
「後、イヅルくん、藍然課長と大前田さんも来ますよ!」
イヅルくんは桃ちゃんと同期、藍然課長は私と桃ちゃんの上司、大前田は乱菊さんの部下で私の同期。
………。
メンツ異質過ぎじゃない?
「なんでそんなメンツになったんですか?」
「とにかくよ!」
乱菊さんの考えはよく分からない。
でもまぁ何かしらの考えがあるのだろう。
「とりあえず、仕事終わったらここに来てよね~、勝手に帰ったらただじゃおかないわよ」
そう言って紙を手渡すと、乱菊さんは今日のために早く仕事終わらせなきゃ~と言って去っていった。
渡された紙を開くと、今日の会場?の住所が書かれてあった。
「桃ちゃん、ここどこかな?」
桃ちゃんは、ニコッと笑って
「それは来てからのお楽しみです!」
なんて可愛い顔でいうからこっちまで楽しみになってきちゃった