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砂糖は最後に
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「今日はお招き頂きありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ急な誘いやったのに来てくれてほんまにありがとうございました。」
会食もお開きになったところで、互いにロビーで挨拶を交わす。
仕事の顔の真子を見たのは2回目だったかな、やっぱりいつもと違って威厳がある。
「では、私たちはこれで。」
藍然課長の言葉と共に礼をし、私たちはホテルから出た。
「杏さん結構長く外にいましたけど、何かしてたんですか?」
「ん?いやー、特には何もしてないかな」
平子課長が彼氏ですなんて、なんか言いづらいし、気まずいから一緒に居たことは隠しとこ。
「さ~てこれから二次会と行きますかー!」
気分が上がった乱菊さんは二次会に行く気満々のようで、、、。
桃ちゃんもいいですねぇー!なんて結構ノリ気のようだ。
「もちろん、杏も行くわよね?」
正直、会食だけで十分疲れた私にとって二次会は結構辛い。
たぶん、ここで帰りますって言っても理由が疲れたからなんて通じる相手ではないのは十分承知している。
「えっと、」
ブルルル、ブルルル
テキトーに理由をつけて断ろうとしたとき、タイミング良く誰かから電話きた。
「あっ、すいません。ちょっと待っててくださいね」
そう一言断りを入れて着信画面を開くと、
"平子 真子"
と映し出されていた。
乱菊さんが、早くしなさいよ~という声を聞きながら少し離れたところで電話に出た。
「もしもし」
「おー、もう帰るん?」
「うーん、、、迷ってる」
「ははっ、なんやそれ」
「はいはいご用件をどうぞー」
「よかったらこれから俺ん家で飲み直さんか?」
おっ、これはいい口実ができた。
「わかったこれから行くね」
「おん、待っとるわ」
私は電話を切り、次はどこへ行くか話し合っている人達のところへ戻る
「ねぇ、誰から電話だったのよ、もしかして彼氏~?」
「彼氏さんですか?!」
「よかったな~松田、男から電話がきて」
おーおーみんなバカにしてくれちゃって~
私だって彼氏いますよ。
みんなに言ってなかっただけ。
「すいません。これから彼氏とデートしてきます」
みんなの目が一斉に見開かれ、本当だったのか?!と驚いた顔している。
ははっ、豆鉄砲食らった顔しててちょっと面白いかも。
私は、お先に失礼しますと挨拶をして背を向ける。
後ろから乱菊さんが、なんで彼氏いること言わないの!と言っている。
言う訳ないじゃないか
だって、その方が面白いもの。