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二人の温度
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はぁぁぁぁやられた!!
まんまと真子の悪巧みにはまってしまった。
ひゅるひゅるとガスが抜けたようにその場に座りこんで真っ赤になった顔をどうにかして冷やそうと自分の手で顔を覆うが熱がとれないなんて最初から解っていることで、全くもって意味ない。
このまま逃げ出してもいいが、きっと、いや絶対真子は不機嫌のまま明日の朝まで口を聞いてくれないだろう。
でも、このまま素直に中に入ったら…
あぁぁぁどうしよう。
悩んだところで結局中に入らなければいけないのか…。
諦めよう。
もうここまできたらやけくそだ!全部脱いでバスタオル巻いて入ろう!
勢いよく服を脱いで洗濯機に入れ、戸棚からバスタオルを引っ張り出し、体にきつく巻つける。
ふぅ、 いざ、参る。
ガラッ
「おっ、お待たせしましたっ…」
「おー待ちくたびれたわ」
腕をバスタブにからだらしなく出してだるそうに頭を壁につけて上を見上げてる真子は、こちらを見ようとしない。
「入るまで見んといてやるからバスタオル置いてき、もったいないやろ」
一応、気を使ってくれてるのだろう。
ここで絶対見るからやだ!なんて言ったらまたややこしくなりそうだから大人しく従っとこ。
せっかくきつく巻いたバスタオルを脱いで、さっとシャワーで体を流し、湯船に体を沈めていく。
白い入浴剤を入れてくれてるあたり、やっぱり私が恥ずかしがると思っていれてくれたんだなぁ。
「もう見ていいよ」
そう言うと真子はのっそり顔を此方に向けてふぅーと息を吐き出した。
向き合うようになっているのだが、緊張して目が合わせられないし、真子が足をのばせるくらいのヒロサガあるのに体育座りを維持している。
「何を今さら恥ずかしがっとんねん」
「だって、久々じゃん」
「んー、せやなぁ…なぁ杏… 」
両手を広げて私を見てくる。
あぁここに来いということですか。
真子に背を向けてゆっくりと真子におっかかるようにして足を伸ばすと、真子は広げていた腕を私のお腹の前で閉じてぎゅっと自分の方へ寄せてきたので、真子を背もたれにして胸板に頭を預けることにした。
行き場の無い自分の手を真子がそれをそっと覆うように握りしめてきたので、少し開いた隙間に指先を通して真子の手の甲で遊んでいたら、ふと筋肉質で私より太い腕が目に入った。
「真子ってさ、見た目ヒョロヒョロなのに意外と筋肉質だよね」
「見た目ヒョロヒョロってなんやね」
きっと今眉間に皺寄せて口をへの字にしてるんだろうなぁ~って思いながら、斜め後ろを向き少し見上げたらやっぱり予想的中だし不機嫌丸出しだしでつい笑ってしまった。
「ぷっ、あははは!」
「何笑てんねんっ!!」
「いや、だってっ、あははははは!」
「お前っ!、、、、もう容赦せんわ」
思いっきり笑ってたら頭の上から声のトーンがさっきより格段に下がった声が聞こえて、温かいはずの風呂が絶対温度になったんじゃないかってくらい冷えた気がして、体が硬直。笑い声は一瞬にして消えた。
すると突然どこからやってきたのかわからない真子の手が私の顎を掴み、無理やり真子の方へ顔を向けられ、噛みつくようなキスの嵐に教われた。
「んっ、、、!」
抵抗しようと真子の胸板を必死で押すけどビクともしないし、後頭部をガッチリ捕まれ、腰に腕を回されてるので逃げようにも逃げれなくなってしまった。
激しく混じりあう度に浴場に響くやらしい音が互いの気持ちを高揚させる。
だんだん意識が朦朧としてきたところで、やっと離れた。
「はぁ、、、はぁ、、、」
「さっきまでの威勢はどこいったんや」
そっと耳元に口を当てられ、低い声がそっと聞こえてくる。耳が弱い私にとってとてもくすぐったい。今にも変な声が出てしまいそう。
「う、、、るさい、、、」
「ふーん、あっそう」
腰に腕を回していたはずの真子の腕は、そっと骨盤、太もも、そして内腿を人差し指で撫ではじめた。
「息、荒くなってんで」
「はぁ、、はぁ、、、、、ぁ、、」
甘さを控えた空気が漏れる。真子は口角を上に上げ待ってましたと言わんばかりな表情を向け私に問いかけた。
「場所、移そうや」
そういうと、私の膝裏と背中に腕を回し勢いよく持ち上げると抱き上げたまま、脱衣場にあるバスタオルを私に取れ、と顎をクイッとやってくるので、手を伸ばしてそれをとり自分の体にかける。真子は私が手にしたのを見ると、足を進め寝室の扉を足で開けて私をベッドの上に下ろし私の上から覆い被さってきた。
「ちょ、真子!体拭いて、、って、、、ダメ、、」
私の言葉なんて聞く耳無し。お構い無しにバスタオルを剥ぎ取り、膨らみを包み込み強弱をつけながらやさしく揉みだした。
「ほんまは、期待してたんとちゃうん」
「してないっ、、、はぁ、、」
見下ろしてくるその顔はなんとも腹立たしい。キッと睨み付けても高まる気持ちと荒くなる息が邪魔をして効果無しだろう。
「なぁ、強がっとらんで素直になったらどうなんや」
太ももを撫で回していた手がそっと内腿に、触れてほしいとこにわざと触れないよう避けながらそっと撫でてくる。
吐息混じりに甘い声が出てくる。本能的に体求めているのを随分前からわかっていた。
「ねぇっ、、、いじ、わるっ」
「ちゃんと言わんとわからんよ」
私も限界がきたらしい。真子もまだかまだか待っている。
そっと真子の頬を包み込み顔を寄せて、チュっと口づけをし、直視するのが難しいが、なんとか真子の瞳を見つめて
「……触って…」
「ええよ。気持ちよくしたる。」
その声が聞こえた時、突然の快楽が私を襲い、滴る水の音と甘く熱を持った吐息が響き渡り。真子と私は互いに肌を激しく重ね合わせた。