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第一話
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「おい、点呼するぞー」
「おはようございます!先生!」
「おー、カームか。朝からお疲れさん」
「ありがとうございます!」
僕はいつもは元気っ子だ。
疲れやストレスを皆に悟られないようにしている。
カウンセラーたる者、自分の事は後回しだ。
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休み時間も保健室へ行かなくてはならない。
怪我人や急病人の手当てで忙しい。
先生は授業中だけ居るようだが会ったこと無いな。
「……失礼します」
「ん? はーい。」
誰かがまた来たようだ。
急いで患者の方に向かう。
「どうかした? ……ってあれ? 君転校生?」
「そうだけど……、先生は?」
「サボりだよ。だから僕が先生の代理。
あ、座って。今日はどうかしたの?」
入ってきたのは、朝礼で紹介されていた……
「キャラ君、だよね。」
そう。男の子だ。
肩で切り揃えた茶髪、赤い瞳、薄ら笑いを浮かべた顔。
女の子に見える、だが男だ。
「……そうだけど」
「やっぱりそうだよね。所で怪我したの?」
「うん、打撲」
「あー、痛いよねーあれ」
奥に行って湿布や包帯を取る。
戻ってキャラ君に患部を見せてもらう。
…………そこには、見慣れた軽い打撲ではない、殴られ続けた痕が痛々しく残っていた
「……何、これ?」
「…………」
「嗚呼、ごめん。言いたくないよね。
大丈夫、秘密は守るよ。相談にものれるから。」
……懐かしい。
僕も昔は虐待をされていた。
……見えないところばかり切りつけられて。
仕方なく応戦したら、母さんを×してしまって……
駄目だ、今は手当てが先。
僕は湿布を貼って、包帯を巻いた。
酷いところには炎症止めと痛み止めを。
何とか手当ては終わった。
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「へえ、キャラ君は物理学が得意なんだね。」
「キャラで良いよ。」
「OK、キャラ。僕はカーム。カーム=アイロニーね。よろしく」
「よろしく、カーム。」
すぐに仲良くなれたのは良かった。
そして何故か僕にキャラは質問をした。
「……ねえ、人間ってどう思う」
「え? 人間?」
一瞬呆けてしまったがすぐに答える
「救いようのない愚か者、かな……。
勿論キャラの事は含めてないけど、大人達はそうだと思う。」
「……ふーん、そう……。」
何で訊いたのか、と思ったがまあ良い。
彼はすぐに教室へ戻っていった。
嗚呼、もうすぐチャイムがなってしまう
急いで戻らないと