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とある作者も連載開始したので波に乗った。
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「はぁっ…!!!」
再び瞼を開けるとそこにはさっきまで居た室内だった。
「全く、そそっかしい子だねェ」
「迷惑掛ケルノモイイ加減ニシロヨ!」
「…す、すみません。」
あぁ、どうしよう。私はどうすればいいのだろう。こんな時昔やってた消費者金融のカードCMを思い出すわ!!どうする!?俺!?状態だわ!!!って言っても出せる切り札なんてそもそも何もないけどね!!!
「あ、あの!お登勢さん、私!」
ここで本当の事を言ったら信用してくれるのかなぁ、なんて思いながらも切り札が無い以上本当の事を言うしかなかった。が、ふと、脳内を過ぎった上司の言葉。
ー他の人に言ったら…
あの言葉の続きには裏があると、今ならわかる。と言うよりも裏でしかない。
「なんだい?」
「あ、いえ…」
この人を巻き込む訳にはいかない、と思い言葉を飲んだ。眉間にぐっとシワがよる。現世?に戻るには確か自殺…胡散臭いけどやってみる価値はあるかもしれない、だってこうして異次元に来れているんだから…
「あんた何があったか知らないけどね、死のうだなんて思っちゃダメだよ。何があっても前向いて生きてくんだ。迷ったら横向いて息抜きするこった」
「え!?あ!!自殺したらなにか変わるだなんておもってないですよ!あははは!!はは!」
「コイツ、嘘ツクノ下手クソダナ」
自殺する意図は違くとも行動がバレたことに肩を震わせお登勢を見ると名刺を出された。
「上にしょうもない店があってねェ。万事屋なんだが困ったらそこに駆け込めばいい。」
その名刺には〝万事屋銀ちゃん 坂田銀時〟と書かれていた。万事屋か…お金あるから行ってみようかな…立地もなにも分からないからお金で解決できるなら、
「ありがとうございます。あ、あのまた改めてお礼させて下さい。本当にありがとうございました。」
そう言うと店を出て上へ続く階段を探し万事屋へ向かった。
***
インターホンを押し、ごめんくださーいと一言掛けるも誰も出てこない。何度もインターホンを押すが一向に出てくる気配はない。
「…えー…」
すると後から声をかけられた。
「あ、あの。もしかして万事屋に御用ですか?」
眼鏡をかけた少年が私に微笑みながら質問してくるのを見てハッとした。こんな小さい子が社長してるなんて凄い世界だ、なんて思って思わず口走ってしまった
「あ、はい!もしかして銀時さんですか?」
「え!?僕ですか!?違いますよ〜」
あははと笑いながら玄関を開けると、おはようございますと中に入っていく眼鏡くん。どうぞと言われて釣られて中に入ると奥から銀髪の男性がやって来た。
「朝からピンポンピンポンうるせェんだよ、こっちは二日酔いなんだよ…」
「銀さんしっかりして下さい、お客さんですよ」
〝銀さん〟と呼ばれた人を見るとなまえはあ、こっちかと思い会釈をする。目が合うと、銀さんはささっと消えてしまい水道をひねる音が聞こえた。顔でも洗ってるのだろう。眼鏡くんは客間に案内し座るように促してくれた。
暫くするとなまえの目の間に座る銀髪。
「朝から見苦しいもん見せちまってすまねぇ。俺ァ坂田銀時。万事屋の社長だ」
「ご挨拶が遅れました、僕は志村新八です。ここの従業員です。あともう1人女の子の〝神楽〟って子もここで働いてるんです」
そう言うとお茶を目の前に出してくれた。新八は銀時の隣に腰掛ける。
「あ、あの、私はキクラゲ企画のみょうじ なまえと申します。」
営業もしないのに名刺を入社当時に貰い、そんなに配った事がなくこのタイミングだ!と言わんばかりに名刺ケースを出そうとするもののバッグが無いことに気が付く。
「あ、今朝というかなんというか…鞄を無くしてしまい名刺を切らしてまして…」
ははは、と笑うと顔を見合わせる新八と銀時。
「それで、ご依頼内容は?」
銀時の目が少しだけ鋭くなった気がするのは、気のせいだろうと思い口を開こうとするにも何も話せない。
まって、やっぱり切り札ないじゃん!!ここに来ても切り札ないじゃん!!どうする!?俺!?
「あ、あ、…えと…あ」
「あ?ちゃんと言わなきゃわかんねェよなまえさん」
「銀さん、ちょっと」
なかなか言おうとしないなまえに些か腹を立ててることが空気で分かった。えぇい!もう言ってしまえ!と口を開いた。
「実はで「ただいまヨー!」」
「あ、神楽ちゃんおかえり。今お客さん来てるから」
すると玄関先から大きい犬がどしどしとなまえに向かって突進してくる。
「あぎゃーーーー!!」
「コラ、だめヨ定春!人間に犬の子は産めないネ!」
神楽が大きい犬、定春と呼ばれる犬を引き離すと大きな口にはなまえの鞄がくわえられていた。
「あ!それ私の!」
「散歩行く前、お前と鞄がゴミ捨て場に落ちてたネ。だから鞄だけ拾っておいたヨ」
「…それただの窃盗じゃ…」
「なぁ、なまえさん、ゴミ捨て場に落ちてたって…」
今朝の事をすっかり言いそびれている事を思い出したハッとすると、酔っ払って寝ていたと誤魔化した。
バッグを漁り、名刺を取り出すと銀時に渡した。
「遅れてすみません…、」
「おー、受け取っとく。」
すると名刺を一通り見て懐に入れた。すると神楽も新八の隣に座り話を聞く体制になった。
「えと…えと…じ、実は、あの、家を追い出されてしまって住む場所がなくてどうか賃貸の物件を探しては貰えないでしょうか!?」
なに言ってんだ私ェ!!!いや、正直に言っても巻き込むだけだし!?正解!いい手札!よっ!
心の中でガッツポーズすればポカンとする3人。すると呆れたように銀時がため息をつくとメモを取り出した。
「どんな間取りがいいんだ。あと、家賃上限」
あ、やっぱり万事屋なんだと思い少し胸を撫で下ろした。
「あ、えと、1DKがいいです…家賃はなるべく安い方が…」
「分かった。宛はあるから着いてこい。」
すると新八と神楽も支度をしついてこようとするものの、俺一人で大丈夫だと言った。
「あ、ありがとうございます。」
「良かったですね、なまえさん」
「万事屋で万事解決ネ!」
これで良かったのだろうか、と二人にお辞儀をして玄関へ向かう銀時の後を追った。