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「相変わらず美味そう」
「相も変わらず美味しいですよ。」
はい、と割り箸を坂田さんに渡す。
「資源の無駄だからマイ箸持参しようと思ってるんだけど」
「マイ箸なんていりません。来なければいい話です!」
いただきます。と不満そうに言う私をみてへらっと笑う。何がおかしいんだちくしょうめ!
「いただきま〜す…ん、この肉じゃがうまい!さすがなまえちゃん。銀さんの味の好み分かってきたねぇ」
「違います。私はこの味付けが好きなんです」
「さっきっからツンツンしてるけどそんなに銀さんの事嫌いなの?」
「嫌いと言うか、お世話になった身ですし…情というかなんというか。あ、違うな、急にこうして来られるのが困るんです!今日だって本当は…」
「え?なに彼氏でも来るの?」
「彼氏なんていませんよ!じゃなかったらストーカー被害を万事屋さんに依頼しません。」
「じゃあ何が不満なの。銀さん解決しちゃうよ〜」
なんて言いながら美味しそうに肉じゃがを食べ、お浸しや味噌汁、お米を頬張ってる坂田さんをみると何故かほっこりしてしまう。夕飯はいつも1人だからたまにこうして来てくれるのは嬉しい…言ったら毎晩来そうで怖いから言わないでおこう。
「だから、急に来られるのが…。」
「…じゃあ、連絡入れたら来ていいって事だよなァ?」
「え、あ、」
「ごちそーさん。今日もうまかった。」
坂田さんは立ち上がり私の頭をクシャッと撫でると玄関へ向かって行ってしまった。
「…食器ぐらい片付けて行ってよね。」
頭の上に残った体温を感じ取ると少しだけ恥ずかしくなった。
手…大きいんだなぁ。
また来てくれないかなぁ…と思ってしまった自分が恥ずかしい。食器をまとめて台所に向かおうとすると行く方向の台所からカシュっと音がした。
まさか!!
「なに〜なまえちゃん、1人で飲もうって感じ?銀さんも付き合うよ〜」
なんて人だ。帰ったと思ったら勝手に冷蔵庫開けてビールまで…ほんとマダオ。
「なにやってるんですか。勝手に。」
「いいのいいの。なまえちゃんはもう神楽も新八も認めるお嫁さんって感じだから」
「お嫁さんってよりもニートの息子を持つ母親の気分です。てか、勝手に認めないでください。」
今度神楽ちゃんと新八くんに訂正させに行かなければ…
「何言ってんだよォ、社長だぜ?それと訂正しようったってそうはいかねェなァ。」
口角をクイッと上げて笑うと再び頭を撫でられ、どう反応していいか分からず下を向いてしまった。
「照れてんだ、案外可愛いところあんじゃねェか」
「て、照れてなんか…!!」
「ふーん…コレでも?」
と言うと顔を覗き込んで鼻先にキスを落とされた。
「わっ!ちょっと!!!」
「反応はおばさんって感じだな」
「う、うるさい!!!」
もう!と食器を片付けていると後にふわふわしたものを感じた。
「ぎゃ!ちょっと何してるんですか離れて下さい!!!」
「少しだけいいだろ?減るもんじゃねぇし。」
腰に手は回さないもののピッタリくっついて離れない。たまにビールを呑む音が生々しく聞こえてきて近すぎることを改めて再認識した。
「なぁ、なまえ」
「な、な、なんですか?」
耳元でぼそっと囁かれ。私は…
end