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スピーチとスカートは短い方がいい!
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「…はぁ」
友達のおともだちが切り盛りする甘味処みつばち。私はそこで働いてるんだけれどなんと今日は創業2周年ということを記念して、お食事を半額にしよう!となんとまぁ太っ腹で粋な計らい。
半額にしてもまかなえる位の繁盛ぶりなのは良くわかる。
1周年の時はバタバタしてなにも出来なかったから今回はパーっとやりたいと半年前からおともだちが私に目をキラキラさせながら言ってきた。
「ま、まぁ、いいんじゃないかな」
「よっし!契約成立!」
「契約成立!?なんの!?契約って知ってる!?ねぇ!?」
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あの時安易に二つ返事しなければ良かった。いつもなら浅葱色の着物を身にまとい配膳をしているのだが、今日は出勤早々アキバ的な服、所謂メイド服を押し付けられた。
「はい、これ2周年限定!買いに行くの恥ずかしかったんだからね!」
っておともだちは言うけど、あんたは作る側だから表に一切出ないし砂糖やらなんやらで汚れるからいつもの作務衣だけどさ!私だけ!?浮いてない!?
「はいはい、ため息つかないでちゃっちゃと働きシンデレラ!」
「…も〜分かったよ〜」
そそくさとメイド服を身に纏う。うげー、スカートめちゃくちゃ短いじゃん。太ももムチムチなの知っててあいつめ!!!こんな醜い太もも誰が喜ぶの…しかも王道の白のニーハイと来たもんだ。おともだちの趣味かな?もう再就職先探そうかしら…
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やっぱり繁盛する本日。いつもより増してお客さんの出入りが激しく時間が過ぎるのを早く感じた。
もうそろそろ店仕舞いしようか〜!なんてニコニコするうちのおともだち社長。そりゃこんだけ繁盛すれば嬉しいよなあ。片付け始めたその時
「よォ。まだやってる?」
「あ、銀時。もう店仕舞いしちゃう所でドタバタしそうなんだけどよかったら特別にどーぞ。」
銀時はこの店が出来てから何度も通い詰めてくれていて、ある日屋台でしっぽり1人呑みしている時にばったり出会った。私はてっきり みつばちの甘味が好きで通ってくれてるのかと思ったら大間違いだった。
「鈍感にも程があるだろ」
「え?甘味嫌いなんですか?」
「そうじゃねェだろ!」
まぁ、そんなこんなでお付き合いしているんだけども…。
看板の電気を消し、ガラガラと重たい看板引きずって店の中に入れながら中に案内しようとする。
「…なまえよォ、なんでそんな格好してんだよ」
重たい看板をいとも簡単に銀時がひょいと店内に入れてくれた。あ、ごめん。と言うと店の奥のお気に入りの場所に座った