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蜂蜜とメイプルシロップの区別とは◆
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「銀ちゃん、お風呂お先でした。」
髪の毛はドライヤーで乾かし終わったなまえが顔を客間に出すとふわっと風呂上がりの甘い匂いが鼻をかすめる。
「おー。じゃあ俺も入ってくるとしますかねェ」
ソファーから立ち上がるとタオルとパンツを持ち風呂場へ向かう銀時。すれ違いざまになまえの胸を柔らかくタッチすると、やめてと手を叩かれた。脱衣所に入るなりこれからどうしてやろうなど考えただけでニヤニヤが止まらない。なんせ今日は久々に泊まりに来ている。神楽はお妙の所にお下がりの着物を貰いに行くついでに泊まってくると行って出ていった。
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「旦那ァ、なに油売ってるんですかィ」
「総一郎くん」
「総悟でさァ」
仕事の合間に定食屋で昼飯を食べていると着流しに身を包んだ沖田が現れた。格好からすると今日は非番と言ったところだろう。何も言わずに銀時の前に座ると店主に注文し銀時をじっと見る。
「なんだよ気持ちわりィ」
「旦那ァ、こんなの興味ありませんかィ?」
懐に手を入れると小瓶を取り出した。白米をパクッと口に放り込むと小瓶をちらっと見た。中には金色の蜂蜜のような液体が入っていて〝Mぷるしろっぷ〟というラベルが貼られていた。
「なんだそれ」
「媚薬でさァ」
「ぶーーーーーーっ!!!!」
「だ!旦那汚ねェ!」
白昼堂々公共の場で下ネタぶち込んでんじゃねぇよ!と口を拭いながら言うと飛んできた白米を沖田はおしぼりで拭う。と、店主が苦笑いしつつ沖田の注文した定食屋を前に置く
「そんなもん、どこで手に入れたんだよ」
「それは企業秘密ですぜ。いただきまさァ」
小瓶を懐に戻すと定食を食べ始める沖田。媚薬の事が気になるのかチラチラと沖田を見る。
「なんですかィ、欲しいんですかァ?」
「べべべべ、別に欲しくなんて…」
図星を突かれた銀時は目を見開き唐揚げを沖田の皿に乗せる。チラッとその唐揚げを見るとその唐揚げをパクッと食べ鼻で笑う。
「…じゃあ、終わったら詳しく聞かせてもらいやしょう。試作品らしく効くかどうかは分かりやせんが。」
小瓶を銀時の目の前に置くと物凄いスピードで定食を食べ終えた沖田は席を立ち上がる。
「ご主人、この旦那が払ってくれるそうでさァ。ごちそーさん」
と、店を出ていく沖田。
「唐揚げじゃ足りなかったか、クソ…」
舌を鳴らすと小瓶を袖に入れ、再び食べ始める。
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お風呂から出ると、念入りに至る所まで洗った事を再度確認し、いつもなら適当にドライヤーで髪を乾かすが、今日はヘアブラシを一度通して乾かした。高鳴る気持ちを抑えて台所へ向かうとアイスと食器、小瓶を持って居間に向かう。
「あー!アイス私も食べる!」
「はいはい、分かってますよ〜。銀さんは貧乏だから半分こな」
ウルトラカップのバニラ味を半分に取り分けなまえに差し出す。小瓶をこれ見よがしにみせつけると興味津々に小瓶を見てくる。
「今日の現場が草むしりでよォ。お礼に作りたてのメープルシロップ貰ったんだ。昼間食わせて貰ったんだけど美味くて半分持ち帰ってきた」
「ふーん…〝Mぷるしろっぷ〟か、なんか可愛い名前だね。」
まぁ、良くもこんなにスラスラと嘘が吐ける自分に嫌気がさしていたが、なまえに小瓶を渡すと嬉しそうにシロップを掛けた。銀ちゃんにもとアイスに手を伸ばし掛けようとしたが大丈夫だと断られたので、じゃあ取っておこう!と蓋をした。
「なまえちゃん、それ全部使った方がいいと思うよ」
効き目が分からないと言われていたので少し焦ったように言うと、全部使い切って良いと言われ目をキラキラさせ再び掛け始めた。
ニヤニヤと笑う銀時を見ると、不思議そうな顔をしたがニコッと笑ってアイスを食べ始めた。
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