-
お餅の消費に苦戦する
-
アルバイトだろうか。可愛い女の子達がタイトスカートに谷間を強調したワイシャツと白衣を身にまとい何かを配っている。その団体にふらふらっと近づく銀時に舌打ちし、横目に見るなまえ。
「性病撲滅キャンペーン行っておりますぅ〜」
「良ければ貰って言って下さい〜」
語尾にハートマークを付け、赤のどぎついネイルが目立つ指先で銀時に渡すのドコゾオリジナルの新作のスキン。
「今時こんなもん街中で配る時代なんだな」
「だってぇ〜、性病って男女共通問題だしィ〜、それに着けないとベビたん出来ちゃうし?性教育しなきゃねっ」
「ちなみに僕はLサイズじゃなきゃキツいんだけど」
そんな事を余所行きの顔で言う銀時の尻をパンッと叩くと手を引くなまえ。鼻の下を伸ばしヒラヒラとお姉さん達に手を振る銀時を睨みつける。
「なまえちゃん。もしかして妬いちゃったの?」
「妬くと言うよりはしたない」
「ふーん」
ニヤニヤとこちらを見てくる銀時に一層イラッとする。確かに妬いたさ!だってだってだって!あんなに足細くないし?お尻だってキュッとしてる訳でも胸だってボリュームがあるわけじゃない。それにあんな猫なで声なんて出せる訳ないしああああもう!!!久々のデートなのにこんなにもモヤモヤするなんて!
そんな事を考えながら悶々としながら銀時と大江戸ストアに入った。
***
「銀さん久々に金目の煮付け食いたいんだけどなァ」
「はいはい」
「…」
どうしよう、もうモヤモヤしてたまんないんだけど!ヤキモチだよ!えぇ!ヤキモチ!!悪い!?だってもうヤキモチ!!!…こんな私で良いのだろうか。
食材を籠に入れ銀時と会話を交わすことなく淡々と買い物を続ける。こっそりいちご牛乳を籠に入れているのを見たが発言するだけで泣きそうだ。なるべく今は落ち着きたい。話したくない。重い女だと思われたくない。瞬時に買い物を終わらせなまえの家に向かう二人。何も言わず手を繋いでくる銀時を見上げると、いつものぽけっとした顔をして歩いていた。
***
なまえの家に着くなり台所に行き食材を冷蔵庫に入れる。銀時は居間に行くなりテレビを付けていた。
「おっ、さっきの姉ちゃん達医師団体がバックのアイドルグループだったんだな」
いちご牛乳とお茶が入った湯呑みを持ち居間向かうとテレビには先程、気が狂いそうになるほどヤキモチを妬いてしまった相手が映っていた。
「医師団体がバックならもっと身嗜みに気を付けてほしいね。ネイルとか髪の毛とか」
「なにー?なまえまだヤキモチ妬いてたの?」
「…、うるさい」
ドンと目の前いちご牛乳を置けば、銀時の隣に腰掛けお茶を啜りテレビを消す。
「あー、せっかく素人モンのAVっぽくてわくわくしてたのに」
「ほんとうるさい。」
いちご牛乳に目をつけず、覗き込んでくる銀時に舌打ちをすると目を逸らす。
「素直になれば可愛いのになァ。いつもいつも素直じゃないなまえちゃんはいつになったら素直になるのか銀さんは待ち遠しいよ」
「もー、本当にうるさい」
涙が急にドバっと溢れ出すと目を見開く銀時。突然の出来事で戸惑うなまえ。
「え、あ…、」
「あ、あの、ちょいといじめすぎた、悪かった…」
「…ちが、そうじゃなくて…あれ…」
なんと言ったらいいか分からずとめどなく流れる涙を必死に止めようと袖口で拭い取ればその手を銀時に剥がされ唇を啄まれた。