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台風来すぎじゃね?
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「ぅ〜…」
薄っぺらい敷布団の上で薄っぺらい掛け布団の中でぶるりと身震いをし目を覚ました。寒い。居間と寝室を隔てる隙間から少しだけ冷たい風が入ってきて更に身を震わす。
「寒ィな、おい。」
障子から射す光に目を向ければ明け方、と言ったところだろう。空色にもにも藍色にもなれない中途半端な灰色の浅葱色。
再び瞼を下ろして眠りを誘うように息を吐いた。
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再びパチリと目を覚ます。あれからどれくらい寝ていたんだろうか。なんとも寝付きが悪いらしい。このままぐーたらゴロゴロしてるのもありだなぁと思っていたが胸の真ん中辺りがなぜかモヤモヤと異物があるような気がする。
「なんだってんだよなァ」
起き上がり、薄手の羽織を肩にひっかけゴミ捨てに行くだけの為にある下駄を雑に履き外に出た。
寝癖で酷くなった天パ頭を掻きむしりながら階段を降りる。
くあっと欠伸を1つして、朝焼けに染まるかぶき町を歩いた。
***
朝の散歩とは歳をとったなぁと自分の老いを感じながら公園の横を通ればふわりと金木犀の香りが鼻腔を通った。
確かアイツ、金木犀の匂袋持ってた…気がする。
相手に無頓着なのか、興味はあるけれど気にしないふりをしているのか自分自身ハッキリとしないがハッキリとしている。ただ認めたくない妙なプライドが邪魔をする。
きっと知ってしまったら人間の醜い嫉妬で頭がどうにかなりそうと薄々勘づいているのかもしれない。
踵を返し、何とも言えない気持ちでいつも通りの場所へ朝焼けの暖かさを背中に感じながら万事屋に戻った。