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私は今日こんな夢を見たの
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高杉夢 3Z 設定かなりぐちゃぐちゃ
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「なまえ、強くなりましたね。」
かつて師であった、時には親にもなった
大好きだった人の右目を確実に今、
自分の刀で貫いた。
喉元を貫いた。
目の前にいるのは『松陽』ではなく『虚』だと言い聞かせる為に言葉にならない音を叫び続けた
どこからか光が入って来ているのか分からない洞窟。
寒く、土が湿っている。
奥からふらりと紫色の着流しが目に止まる。
その瞬間、意識を手放した。
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再び目を覚ました。
隣には意識を手放す前に見た紫色の着流しを着た男が横たわっていた。
痺れる身体を起こし、男の顔を見るなりハッとする。
今はお尋ね者となっている、かつて村塾や攘夷戦争を共にした戦友だった。
「晋助、、」
微かに胸の動きを感じ取り生きてる事を確信した。
胸を撫で下ろしたのも束の間、晋助の隣には人が一人入れる穴が空いており、そこには『虚』の死体がうつ伏せに倒れていた。
上裸の彼の背中は、青白く、紫色をしていた。
その変色から、置かれた現状の経過時間はわかった。
『虚』の口から得体の知れない物を地面に突き刺し、貫いた目は黒く落ち窪んでいた。
攘夷戦争以来、死体を目にする事は無かった為
久々の視野に眩暈がする。
そうしてまた、意識を手放した。
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再び目を開けると、晋助は胡座を描いたて座っていた。
「起きたか」
「私はどのくらい寝てた…?」
「さァな。何もねぇからわからねぇよ。」
「そうだよね」
言われて見れば時計もないこの空間に
時間を示すものもなければ、太陽の位置すら把握できない。
記憶を手放す前のことを思い出し穴を覗くと、そこには土で隠された死体があった。
彼の手に視線を向ければ、爪の間には土が入って少し黒くなっている。
私になのか、かつて彼の師でもあった男に向ける気遣いなのかわからない。
きっと、不器用な彼はどちらとも言えるであろう。
「いいか、なまえ」
ずい、と近寄ってくる彼に肩少し跳ね上げ彼の声に耳を傾ける
「こいつの口から出ているものが、どこか数億光年先に繋がってる。それが未来なのか過去なのか想像もつかねェ」
急に言われた言葉に疑問も持つが、一瞬で察してしまう私も私だった。
「わかった…それを、そいつを斬って来ればいいんだよね」
「ここの、こいつは俺が何とかする。」
すると死んだはずの虚の背中はビクビクと動き始めている。
もう、晋助と別れの時だ。
嫌だ離れたくない、伝えたい事話したいこと沢山あるのに。
そんな私を横目に、彼は刀を握り立ち上がった。
早く行けと言わんばかりに首で私に指示をする。
指示された先には、土で出来たかまくらがありそこに一目散に駆け込む。
チラリとかまくらから彼を見ると、その対面には虚が復活していた。
お願いだから、よろしくね。
そう念じて彼の背中に熱い視線を向けた。
彼の背中を名残惜しそうに、目に焼き付けるように見つめた。
紫色の着流しがとてもよく似合う、着流しの上からでもわかる艶やかな背中だった。
しっかりと筋肉もついていて、それがまたとても色っぽく感じた。
地面が少し揺れ、早く核を潰しに行かなくては。
そう思い、地面を叩き、刀を突き刺した。
すると土に飲み込まれるように沈んで行った。
どのくらい時間は経過したであろうか。
永遠と続く時の隙間を刀に体重を掛けて切り裂いていく。
壁は永遠とカラフルで目がちかちかする。
数億光年、辿り着くまでに私は生きているのか
それとも死んでいるのかすら想像もできないこの空間に欠伸をした。
次の瞬間、地上に出た。
工事現場のおじさんがびっくりしたように私を見ている。
が、目的の場所はここではない
そう察すると、再び刀を地面に突き刺し
硬いコンクリートの中に沈み込んで行った。