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嵐の夜。
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雷が鳴る船内。
船内は荒れ狂う波と豪雨によって
不気味な雰囲気を醸し出していた。
私は船内で夕飯を食べながらずっとティーチと
サッチの姿を目線で追う。
漫画の通りに事が進めば今日
ティーチはサッチを殺すはず。
サッチはおにぃちゃん気質で
私にいつもサッチスペシャルという名の
デザートを作ってくれる。
それを横からつまみ食いするエースが
サッチにフライパンで殴られ
それを肴にイゾウが日本酒をたしなみ
その横でそれをみて笑い転げるハルタ
呆れ顔をしているジョズ。
最後にうるせぇよぃってふたりの頭に
拳を振り下ろすマルコによって終わりを迎える。
楽しかった。
今この幸せを壊そうとしている
ティーチが許せない。
深夜を迎え、ほとんどの者が自室で
眠る様な時間。
それは起きた。
サッチの近くであれからずっと見張っていた私は
一つの足音に気づき物陰に隠れる。
算段なんてなかった。
ただ、サッチが殺されそうになる瞬間
飛び込んで助けを呼ぶことしか非力な私にはできない。
最悪、この命に変えてもサッチを守る気でいた。
姿を表したのはやっぱりティーチで、
サッチが後ろを向いた瞬間懐に忍ばせて
置いたであろうナイフを振り上げる。
『サッチ!!!!』
私は咄嗟にサッチの体を守るように
前に出た。
背中に来るであろう痛みを覚悟して.....
「........オメェ!!」
「ユカコ!!!!」
....マイごめん。もう会えないかもしれない。
私は痛みに耐え.....あれ?
『....痛くない???』
確かにナイフか刺さったはずなのに。
背中を見るとナイフが床に落ちている。
何故かびしょ濡れのナイフが。
「ティーチ!!お前!!!」
「....ゼハハハハハ!!まさか能力者だったとはなァ!!!まあいい!目的の物は手に入った。」
「待て!ティーチ!!!」
状況が掴めなかった。
私は刺されたはずなのに....なんで??
「ユカコ大丈夫か!?」
サッチは刺された私が心配なのだろう。
逃げるティーチを追いかけず私を抱えた。
ドタバタと足音が近づいてきて
ドアを見ればエースが私をみて険しい顔をした。
「何があった。」
普段の笑顔からは想像がつかないほど
険しい顔をしたエースはサッチから
私を受け取ると私の背中と膝裏に腕をまわし持ち上げる。
いつもなら嬉しくて鼻血がでそうになるが
緊張が一気に解けたのか、体に力が入らない。
そのうち騒ぎを聞きつけたマルコが走ってきた。
頭がきれるマルコのことだ、私たちの状況を見て
あらかた察しがついたのか、近くの兄弟に
隊長格全員おこして来るように指示をだしている。
次第に視界が狭くなるのを感じる。
「ユカコ!!!」
私はそれをぼんやり見つめながら
温かい体温に身をゆだねて意識を手放した。
「おい!ユカコしっかりしろ!!!」
辛そうに顔を歪めるエース視界に写しながら。
....To be continue.