-
暗闇に浮かぶ微かな炎。
-
side エース
薄暗い牢屋のなか、海楼石の手枷に繋がれた俺は後悔していた。
公開処刑まであと数日、頭に思い浮かぶのは
世話になった親父と仲間。
そして、
「....ユカコ。」
ボソリと名前を呟く。
「ユカコというのは、おやっさんの所の娘さんじゃったかのォ?」
隣に繋がれたジンベエが話しかける。
「...あぁ、ジンベエはまだ面識なかったな。俺の、」
俺の女だ、と言いかけて俺にそんな資格があるのだろうかと思い、言葉を詰まらせる。
「....俺の、好きな女だ。」
「おやっさんは、エースの女っちゅうとったが。」
その言葉に驚く。
親父にはやっぱかなわねぇな。
なんでもお見通しらしい。
「....いや、もう愛想つかされてるさ。
モビーを勝手に飛び出した俺を追いかけてきてくれたのに、置き去りにしてきちまって、俺は、最低な男だ。俺にはアイツを自分の女なんていう資格ねぇよ。」
そう言いつつ顔を下に向けると
その動きに合わせて手枷がカシャンと音を立てる。
その音ですら、今は俺を苛立たせる原因になり、舌打ちをする。
ついこの間きた、ジジィとの会話を思い出す。
「お前とルフィには立派な海兵になってもらいたかったがのォ。海兵どころか、兄弟そろってまぁ、大変なゴロツキになりおって、」
こんなところで世間話するジジィには
呆れたが、ルフィの活躍を耳にすると自然と口角があがる。
どうやら俺は相当なブラコンってやつらしい。
「そういやぁ、ルフィに父親の話をしたんじゃい。....父親がおることにビビっておったわい。」
話は次にうつり、その話を聞いてフッと馬鹿するように笑う。
「そんなもん。知ろうが知るまいが、迷惑なことに俺もルフィも、世界的大犯罪者の血を引いてるんだ。」
そう、ルフィは革命軍のトップ。
モンキー・D・ドラゴン
俺は、
____ゴール・D・ロジャーの血を。
「海兵になんて、なれる訳ねぇ。
だけど、俺はポートガスって大恩があるお袋の名は継いでも、ろくでもねぇ父親の方の半分の血は願い下げだ。...何の記憶も何の恩もねぇからな。」
「あぁ、まあ、そうじゃろうが....アイツはアイツで、「だからよォ。ジジィ.......」」
俺は頭の中で親父と呼べる親父を思い浮かべる。
「俺の親父は、白ひげ一人だ。」
....To be continue.