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分かれ道。
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赤犬の一言で、緊迫した空気が流れ始める。
私の頬から顎にかけて一筋の冷や汗が流れた。
「お前に親父の偉大さの何がわかるっ!!!!!!」
「人間は正しく生きなけりゃァ、生きる価値無し。お前ら海賊共のゴロツキなんぞに生きる場所なんぞ要らん!!!」
赤犬は自分が信じる正義を述べるが
その正義は誰しもが頷ける内容ではない。
それを証拠に周りで様子を伺っている兄弟達の眉間に皺が寄る。
我慢出来ずに赤犬に牙を剥き出しにしたのは他でもない。エース。
「やめろぉぉぉおぉぉっ!!!!!」
「白ひげは、敗北者として死ぬ!!!!!ゴミ山の大将には誂え向きじゃろうが!!!!」
その言葉に拳を、ぎゅっと握った私の手から血が滴る。
____痛い。
けど、そうでもしなければ冷静でいられないほどに
______ムカつく。
だけど、これ以上に怒りを感じているのは....
「白ひげはこの時代を作った大海賊だァ!!!!俺を救ってくれた人を馬鹿にすんじゃねぇぇぇぇ!!!!!!」
『やめて、エースッ!!!!!!!!』
赤犬に向かっていくエースに手を伸ばす。
サッチがティーチに殺されそうになってから時々みる夢。
私に背中を向けて走っていくエースに何度も手を伸ばした。
けど、1回も止めることが出来ずに。
手は空をきる。
「この時代の名が、白ひげだぁァぁあぁぁッ!!!!!!!!」
エースが、炎を解放して自分の体に纏わせながら赤犬に向かう。
私はその背中に手を伸ばす。
『エースッ!!!!!!!!』
正夢なんて、、信じない。
また、あの太陽みたいな笑顔を1番近くで見ていたい。
パパと、兄弟達と一緒に月の下で宴会して。
朝まで飲んで酔っ払って甲板で倒れて寝ている兄弟達に毛布をかけて。
マルコに貧乳ってからかわれて、それを追いかけて。
サッチと一緒にご飯をつくって。
エースと、、これから先のことを語っていたい。
だから、、
捕まえなきゃ。
自分の手で、未来を。
指先にエースの暖かさを感じた。
けど、それは一瞬にして炎にかわり。
私の手はものの見事に。
空を切った。
「白ひげも、それを親父と慕うお前らも結局同じ敗北者じゃけぇ。」
悲痛なエースの声が頭に響く。
エースに届かなかった手を見つめる。
私の中の血液が暴れて熱い。
動揺する心を落ち着かせようとするが、なかなか上手くいかない。
『え、、エー、ス!!!!!』
「エースが、焼かれた!!!」
腕を抑えたエースが赤犬を睨む。
「悪魔の実の能力、最強のロギアじゃ言うて、油断しちょりゃぁせんかァ?お前はただの火。わしゃあ火を焼き尽くすマグマじゃぁ。わしと貴様の能力は完全に上下関係にある。」
「え、エースッ、、あっ。」
膝から崩れたルフィがエースのビブルカードを落とす。
「おい、ルフィくん。お前さんもう限界じゃァ。」
冷静に、ならなきゃ。
一瞬で、おわってしまう。
少しの油断も禁物だ。
少しでも気を抜けば、、
エースは。
「え、エースの、ビブルカード、。」
ルフィの動きに細心の注意をしながら思考を巡らせる。
エースを、どうやって、助けるか。
「海賊王、ゴール・D・ロジャー。
革命家、ドラゴン。この2人の息子たちが義兄弟とは恐れいったわい。貴様らの血は既に大罪だ。誰をとり逃がそうが貴様ら兄弟だけは絶対に逃がさん。」
「....よう、見ちょれ。」
「!!!! ま、待てッ!!!!!!!!」
考えろ、
考えろ。
考えろッ!!!!!!!!
「ルフィ!!!!!!!!」
『エース!!!!!!!!』
ルフィを庇うためにルフィの所に走るエースを
必死で追う。
この戦争が始まった瞬間からずっと走りつづけてパンパンになった足を無理やり動かす。
ティーチを追うエースをあの時、ちゃんと止められていれば。
アラバスタの砂浜で、油断しないでエースをつなぎ止められていたら....。
.......もう、エースを追いかけるのは辞めるよ。
気付ば私はエースを追い越してた。
エースと目が合う。
『エース。_____________。』
「ッ!!!!!!!! ユカコッ!!!!!!!!」
______ドンッ
......To be continue.