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戦場の水神。
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考えるより、先に体が動いていた。
最後の手段と思っていたけど
エースを確実に助けられる方法はこれしかなかった。
あんな危ないことはしないでくれよ?
といったサッチの悲しそうな顔が脳裏に浮かぶ。
ごめん、サッチ。
私は自分の命に変えても、エースを守るよ。
本当はみんなと一緒にまだ笑って過ごしたかった。
エースとも、まだ色んな事したかった。
デートして、手繋いで、キス...して。
子供が、できて、エースにそっくりな
男の子で、親子そろってご飯中に寝て。
その瓜二つな寝顔をみて、私は幸せを感じるの。
その事を考えるだけで、自然と心がほころぶ。
『エース。
________愛してる。』
「ッ!!!!!!!! ユカコッ!!!!!!!!」
エースが焦った顔をして、私に手を伸ばす。
あぁ、そんな顔をしないで。
最後は、エースの笑顔が見たかったのに。
そんな顔をさせて、ごめんね?
私は後ろから来るであろう衝撃に目を閉じた。
_____ドンッ...
背中に衝撃を感じる。
『____まったく、世話の焼ける。』
その、声に私はきつく閉じていた目を開けて大きく見開いた。
目の前にはここには居ないはずの見知った顔。
『なーに殺られそうになってんのよ。...ばーか。』
『....マイッ!!!!!!!!』
私を抱き抱えて後退したマイは少しホッとしたかのように笑った。
「たくっ、重いんだよっ、お前らっ!」
後ろを見るとハット帽を被った男の人に抱えられたエースとルフィをみて私は涙を流す。
『エースっ!ルフィ!....よかったぁ。』
『こら!まだここは戦場だよ!気を抜くなっ!』
そう言ってマイは私を地面に下ろすと戦闘態勢に入る。
それをみて、私も赤犬に対面した。
「...また、邪魔が増えよって....。数ばかり増えても所詮ゴミはゴミじゃァ!!!!!!!!」
赤犬がマグマを纏いながらこちらに迫ってくる。
マイが私を庇うために前に出るが、その肩にそっと手をのせる。
『...ユカコ?』
不思議な顔をしているマイにニコリと笑うと
前に出る。
『守ってくれて、ありがとう。...でも、守られているだけは嫌なの。』
その言葉と同時に能力を最大限に解放する。
「死に損ないが何をしようと無駄じゃァ!!!!!!!!」
『....我が身にまといし水神に従え。』
ボソリと呟いた私の言の葉に反応した氷の下の海水が氷を割って私の体にまとわりつく。
『____我が、水神の名の元に_____。』
それは形を変えて弓矢になる。
「お前、ここでアレを使う気かよぃ!!!!!!!!」
視界にマルコがうつり、それにニヤリと笑う。
私はそれを迷わずに赤犬に放った。
『______水星流。』
「あらら~、こりゃあヤバいね~。」
「海軍本部が~こんなにあっさりとねぇ~。...あの子は只者じゃないねぇ~。」
私の放った矢は、赤犬に直撃し、その後ろにたっていた海軍本部を真っ二つにした。
『...犬ごときが神に楯突くからよ。』
私は崩れ去る海軍本部に背を向けて、愛する人の元へと駆けた。
....To be continue.