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金で解決出来ることが多い
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「主人公の名前は天人に連れ去られ宇宙の吉原に売られたってわけだ」
ふぅ、と紫煙を吐いた後近くの壁に伝っているパイプに煙管を打ち付け火種を落とす。
「こいつの顔覚えてるか」
高杉がもう一枚写真を見せるとそこには先日スナックお登勢で飲んで一悶着あった男の姿が写っていた。
「こいつ…前にスナックで…」
「そいつァ、裏の情報屋だ。そこで主人公の名前と親父が会ったのが運の尽きか…」
「何が言いたい…」
手に力が入り、握っていた写真にシワがよる。
「主人公の名前は妾の子だからって理由で手練手管は上手いであろうと誰かが捏ち上げた噂を、天人が信じ込んで離さないつもりで居たんだ。」
「なんで妾の子って分かるんだよ…!」
「そりゃ、肩の焼印見れば一目瞭然だろうよ」
再び煙管に葉を詰めて火をつけると、自分を落ち着かせるように大きく、ゆっくり吸い込んだ。
「たまたま俺達鬼兵隊との交渉があってなァ。江戸に降りたらあれよあれよと逃げられたって訳だ。でもよォ、高い金で買った女を逃がすわけにはいかねぇって死にものぐるいで探してんだ。その情報屋が、アイツらに会って喰っちゃべってなきゃいいけどなァ」
「さすが低能だな」
写真を高杉に突き返すと、踵を返そうとすると高杉に肩を捕まれ睨む銀時。
「まァ、待てよ。俺ァ主人公の名前を天人から買い取ろうと思ってんだ」
「…冗談は痛い包帯だけにしとけよ…買取るって…また過去の事をほじくり返す気かよ」
肩の手を払い募る怒りを頭を掻いて落ち着かせようとする。
「万事屋のガキどもが売り飛ばされていいのかァ?アイツらは男も関係なく手ェ出してんだぞ。俺が買い取れば万事解決だ」。
「…、俺が、俺がアイツらも主人公の名前も守る。あの時てめェがしっかり主人公の名前の子守してなかったからアイツの手が飛んだんだ。もうニノマエにはならねェ」
「まァいい。俺と銀時…どっちが先に主人公の名前を助けられるか。」
「望むところだ」
くつくつと喉の奥で笑う高杉を睨みスクーターを取りに帰るべく呉服屋に走った。
***
「道場と道着お借りしました。」
「あら、もう帰っちゃうの?」
妙に頭を下げると手招きをされた。不思議そうに後を付いていくと畳一面に広げられた着物があった。
「良かったら着てはくれないかしら」
「えっ…」
「あ、ほら銀さんって甲斐性なしでしょ?だから着流しだけってのもなんだか寂しいじゃない?」
「で、でも…」
あたふたとたじろいでいると神楽がポンと背中を叩いた。
「アネゴがいいって言ってるネ!貰える物は貰っておいた方がいいって銀ちゃんも言ってたアル!」
「主人公の名前さん、そうですよ。そして、どうか甘えてください」
ニコッと笑う新八に頷き、着物を見る。目に留まったのは水色と白の着物だった。何故かそれしか目に入らずコレがいいと左手で指す。すると手を引かれ別室に案内された。
「じゃあ、着ちゃいましょうか!」
「え!今ですか!?」
「勿論ですよ、たまには女性らしく、ね?」
ニコッと笑う顔を見ると新八を思い出し、やはり姉弟なのだなぁと思った。着流しを脱がす妙にハッとし手を止めさせる。
「あ、あのやっぱりいいです!!」
「…どうして?」
「…、その、えと…」
言いづらそうに目を逸らすと、そっと抱き寄せられた。主人公の名前よりもずっと女性らしい柔らかさ、そして暖かみを感じた。
「大丈夫、どんなに自分の身体に自信がなくともそれは生きて来た証よ。」
「…でも、!お妙さんはきっとびっくりします…」
「何言ってるの。私は、大丈夫だから」
ね?と柔らかい笑顔で微笑み掛けられるとゆっくり頷いた。
***
「おおおおお!」
神楽が目をキラキラと輝かせ主人公の名前を見る
「ちゃんとすれば主人公の名前案外綺麗アルな!」
「神楽ちゃん、それは失礼だよ」
苦笑いする新八を見ると照れながらも似合ってますと言ってくれた。お妙に着付けや化粧、そして髪まで結ってもらった。ただ、一つ気になるのが右腕が懐にしまえない事だった。剥き出しで不安そうな顔をする。
「大丈夫ネ!気にならないアル!」
「主人公の名前さんの生きた証よ?何度も言わせないで」
そう言った妙は笑ってはいたが絶対に怒っているであろう。妙にお礼をひたすらに言い頭を下げた。
その後、新八は今日は万事屋に行かずにお通ちゃんのイベントに行くと言うので門の前でお見送りをしてくれた。
万事屋に神楽と向かっていると公園の前を通りかかった。すると歩む足をピタリと神楽が止めた。
「ん?神楽ちゃんどうかしたか」
「まりっぺとさきちゃんネ!きっとこの前のドラマの話してるヨ…」
行こうか行かまいか主人公の名前の顔色を伺っていると不思議そうに返事をした
「何迷っているんだ?行っておいで。友達との時間は大切にしろ」
頭をぽんと撫でてやると嬉しそうに頷き二人の元へ駆け寄った。気を付けて帰れヨ〜!と振り向きざまに手を振ってくれた神楽に左手を挙げた。
***