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ヒソカと兄妹だったら
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【設定】
ヒスイ=モロウ
20歳。奇術師ヒソカの実妹。変化系念能力者。
ヒソカに年がら年中連れ回されているのでヒソカを知る人間には可哀想がられるが別に苦ではない。ヒソカのことは普通に好き。しかし、スイッチの入ったヒソカはドン引くことが多い。
傍観していることがテンプレ。たまーに止めに入る。たまに。
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ヨークシン。
その中でも五本の指に入る高級ホテルの入り口で奇抜な格好の男をヒスイは見送っていた。
男の名はヒソカ。ヒスイの実兄である。
「じゃあ、ヒスイ。くれぐれも気を付けるんだよ」
「兄さん以上に気をつけなきゃいけないような人はこの世界にいないから大丈夫よ」
「相変わらずツレないねぇ…そこが可愛いんだケド」
「…早く行けば?」
いつもの軽口をスルーしたヒスイはジト目で笑顔の兄を見やった。
過大評価でもなんでもなく、ヒスイの知っている中でぶっちぎりで危険人物はヒソカだ。
自他ともに認める快楽殺人鬼で戦闘狂。これほど最悪な組み合わせを持つ人間も少ない。
その兄は今日、数年前から目を付けていた男が組織する幻影旅団という盗賊団へ顔を出しに行くのだとか。
最初、旅団ーー通称蜘蛛に入っちゃったと語尾にハートマークをつけられた時は目眩を覚えた。殺人に飽き足らずついに盗みに快感を覚えたのか、と。
だがよくよく話を聞けば、旅団の団長と戦いたいから入っちゃったと言われ、やはり目眩を覚えた。
そんなことの為にA級賞金首の巣窟に入るとか我が兄ながら本当に頭おかしい。
とは言ってもそんな兄の多分唯一の肉親であるヒスイはなんだかんだ黙認して、否定はしないし、ヒソカもヒソカでヒスイを庇護対象と見ているので他より多少は気をかけている。そんな所はやはり兄妹なのだと思う。
「ヒスイ、ホントに行ってくるよ」
「うん」
いつものように20cm以上下にある妹の頭を一撫でした後、ヒソカはヨークシンの雑踏へ姿を消していく。それを見送ったヒスイもこのあと会う友人との段取りを考えながらホテルの中へと入っていく。
だが。
「え、アレって……」
「幻覚かな…?」
しかし、その光景を件の旅団メンバーに見られているとはヒソカはともかく、ヒスイは思いもよらなかったのである。