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湯けむり。エース/甘微裏(ゆいさんリクエスト)
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白ひげ海賊団はイゾウの故郷であるワノ国に来ていた。
「ユカコ!温泉っていうの、凄くよかったわよ!貴方も入ってきなさいよ!」
『うん!今から行く~!』
私は久々の温泉にウキウキたった。
大変なことになるとも知らず。
____カポーン。。
『ふぅ~~、やっぱり温泉さいこぉ~~』
露天風呂から見える夜の町並みも風情があって
とてもいい。
日本とはやっぱり少し違うけど、
それと似た風習が多々あってとても落ちつく。
時間帯も真夜中で誰もいないのもあり、浸かりすぎたのか少し頭がぼーっとしてきた。
そろそろ上がろうとしたその時、
反対側の岩陰から見える、見慣れた黒髪....。
そして、その黒髪と目が合う。
「....よ、よぉ;」
『え、エース!!!!いつから、そこに!!!』
「えっと、最初から?」
そう言いつつ近づいてくるエース。
お湯も、水とか海水と一緒だからエースは少しだるそう。
エースはいつも上半身は裸だけど、お湯に使っているエースの首筋から汗がつーーっと胸板にかけて滑りおち、
また、エースの黒い髪から雫がお湯へとおちて
水面に波を作っている。
エースも少しのぼせそうなのかほんのりと染めた頬、
ふぅ、とため息をつく姿が男ながらになんとも艶かしい。
水も滴るいい男だ。←
ふと、エースが自分の濡れた髪をかきあげる。
そのエースがおもむろにこちらに視線をよこし、目が合うと、その色気に耐えきれず、視線をわざとらしく逸らしてしまった。
思わず体温が上昇していくのが嫌でも分かる。
『え、エースの変態!!』
恥ずかしさを紛らわすために出てきた言葉。
私は好きな女の子にわざとイタズラする小学生男子か!!!
と、心の中で自分に自分でツッコミを入れる。
「へ、変態って!...仕方ねぇだろ!入ってたら、お前が入ってきて、出ていくにも出れなくなったんだ!」
そういって、顔を赤らめるエース。
可愛い。....じゃなくて!!
『...みたの?』
私の体に巻いてあるタオルを胸元まで
引き上げる。
エースはそれをみて毎夜みせる意地悪な
笑みを口元に浮かべ、私との距離を一気につめる。
もう、色気MAXです。
男なのにそんな色気どこからだしてるの!?
「....相変わらず、綺麗な体してんな。」
つーっと背筋に指を這わせるエースに
身の危険を感じる。
下からこみ上げる危ない感覚に膝が少し震えた。
あ、これはヤバイ。
逃げようと思いお湯から上がると
視界が一気に暗くなる。
フラリと横に体が傾く。
『....あ、これ、ヤバ....』
「ッ、ユカコ!!」
_____最後に見たのは、焦って私のところへ寄ってくるエースだった。
「また、あなた達なのね....。」
『ごめんね、マリア....。』
「すまねぇ....。」
旅館のとある一室、私たちはマリアに説教されていた。
私はのぼせたので、布団にはいったままの説教だったが、目の前のエースは正座させられてて、足がプルプルしている。
マリアは折角の休暇を邪魔されて
かなりのご立腹であるが一通りエースを怒って気が済んだのか安静にしてなさい!と念を押して部屋を出ていった。
エースはその後、私に冷たい氷水を持ってくると私が元気になるまで自分は窓際で酒を飲むと言って大きな瓶と盃をもって窓際に移動した。
折角だからと浴衣を着ているエースの背中。
いつもはパパの刺青があるが今は浴衣に隠れていて見えない。
なんだか背中を見ていると急に寂しくなってまだほんの少しだるい体を引きずってエースの隣にちょこんと座った。
「オメェは、安静にしてろよ。」
『だって、寂しいんだもん。』
「だもんって////が、ガキかよ///」
『どーせ、ガキだよー!』
そういってエースが持っていた瓶を奪い口をつける。
「あっ!おいっ!!」
『ぷはぁ...うっ、これ強い!!!』
少し飲んだだけなのに辛口で喉がヒリヒリした。
昔、間違って飲んだおじいちゃんの
焼酎みたいな味....。
「馬鹿!ほら、水!」
『ううぅ....私ってほんとお酒無理~。』
「いや、なら飲むなよ!!」
『ナイスツッコミ!』
こんな強いお酒よくこんな平気な顔で飲んでられるなーって関心する。
でも、なんかそれがちょっとカッコよかった。
私は持っていた瓶をエースの持っている盃に寄せる。
一瞬首を傾げたエースだったが、意味がわかると口角を片方あげて、スッと盃を差し出した。
『サボとルフィは元気かな?』
そう言いながらエースの盃に透明なお酒をつぐ。
「アイツらなら大丈夫だろ。」
私がついだお酒をそう言いつつ一気に飲み干すエースはやっぱり、カッコイイ。
『そうだね。』
空を見上げると、ドクロ座が夜空に浮かんでいた。
それを見た私とエースは同時に微笑んだ。
end.