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「みかげさん」
「あ、雅?大丈夫………そうだな」
「?はい(笑)」
「(くっ……可愛い!!)それは何よりだが。人質じゃなかったのか?なんかもてなされてるが…」
テーブルの上を見てみれば、空になったジュースの缶が4、5本。ピザのLサイズが二枚(多分中身は空)が置いてあった。
「この方たちが紋章の呪いについて教えてくださるというので…」
「はあ……心配したぞ。私だけじゃない、チカリンだって心配していた」
「すみません。聞いたらすぐ帰るつもりだったんですけど…」
居心地がよくてつい…と笑う雅にため息を一つ。
「おい、この子あんたのダチか?」
様子を傍観していたカス高生の一人が話し掛けてきた。
「ああ、そうだが。すまないな。勘違いして」
「いや、ウチがこの子をダシにして周防を呼ぼうとしたのは事実だし。悪かった。死神番長として、二度とこんな事しねぇようにすっから」
ビジュアル系バンド見たいな外見をした青髪の男子がみかげに謝る。すると、後ろの子分らしき三人も頭を下げた。
(なんだ、噂に聞くほど悪い奴らじゃないな)
みかげは安心して微笑む。その顔を見た四人は何故か赤くなった。
その光景を見て、みかげが不思議に思っていると、
「紋章の呪いの事を教えてくれるって、嘘だったんですね。では私は失礼します」
と、雅はみかげのところに歩み寄る。それを見ていたリサが、はぁとため息を吐く。
「なんかバカらしくなって来たよ。みかげ、達哉帰ろ」
踵を反し出ようとすると、青髪の彼に引き止められた。
「待て!この事は謝る。だが、このまま帰す訳にはいかねぇ。こいつらの心意気を無駄にしねぇためにも、死神番長のメンツにかけてなってもらうぜ!バンドメンバーによ!!」
「バンドメンバー……」
みかげはリサの隣に何も言わず立っている周防を見る。理解しているのかいないのか。彼の表情はぴくりとも動かない。しかし、無視して帰らないとこをみると、自分の事だとわかっているようだった。
必死な青髪の彼を無視して帰ろうというほど、空気が読めないわけじゃない。みかげと雅も両者に挟まれたまま、黙って立ち尽くす。どうしたものかと打開策を孝じていると、
「死神番長?パンツ番長の間違いでしょ!?」
リサが爆弾を投下した。
それにいち早く反応したのは、青髪のカス高生だった。
「な、なんだと!!てめぇ」
「知ってるよ?あんた人のパンツ下ろし続けて番長になったんでしょ!?」
「!!!」
カッと顔を怒りに染め、俯く青髪の生徒をアワアワしながら宥める子分たち。
「い、いけねぇ!ミッシェルさん落ち着いて!」
「お、おい、大丈夫か?」
肩をワナワナと震わせ、拳を握りしめる彼に、さすがのみかげも心配になり声をかけた。
「リサ!言い過ぎだ」
「えぇ~、だってホントの事じゃん!!」
やっぱりこうなったか。みかげは今日何回目かのため息を吐いた。彼、ミッシェルがここまで反応するという事は、身に覚えがあり、しかも他校生に言われつづけていたのだろう。
『パンツ番長』と……。
……と、その時、
…ドクン…
「!!!」
覚えのある感覚。心臓が跳ね上がる。ふとリサたちを見ると二人も同じ感覚を覚えているようだった。
ドクン…ドクン
「パンツって………」
ドクン…ドクン…ドクン
ドクン……!!
「パンツって言うんじゃねぇぇぇ!!俺の名前は三科栄吉!ミシナエイキチだあああああああ!!」
ミッシェルこと、三科栄吉の怒号とともに周囲が歪んだ。