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覚醒
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気がつくと、殺風景な空間にいた。周りを見ると、リサと周防達哉、そして三科栄吉がいる。今の状況を把握する前に、三科栄吉が叫んだ。
「来い!!死神!!」
その声に応えるように、三科栄吉の体が発光し、光の粒が集まり形を成してきた。それは、人の姿をしてはいるが、バイクのハンドルや排気パイプをあしらった容貌。不思議な光景だった。
―我はラダマンティス…裁きの太刀にて咎を断つ冥府の判官なり…いざ、汝が敵の罪を裁かん!!―
耳からではなく、心に直接入ってくるような…そんな声だった。心なしか三科栄吉の声に似ていた気がする。
ラダマンティスが片手を上げると、隣にいたリサに青い水流が刃のように、襲い掛かった。
「リ、リサ!!」
「きゃああああああああ!!」
叫びを上げたリサもまた、光の粒に包まれ、それは形になった。
「ハイメ………マジ?」
「!?」
フワフワした綿毛の様な物をあしらい、弓を持ったモノが現れた。
―私はエロス…金色の矢持ちて…恋の炎(ほむら)を灯す者。我が現身よ、汝が力になりましょう…―
エロスは再び光の粒となり弾けた。その途端、リサの体は力を失い倒れ込んだ。
「リ、リサ!!」
みかげが震える体を叱咤し、リサに駆け寄った…………その時だった。
ドクン!!
(っ!!またか!こんな時に!!)
いつもより、痛いくらい激しく心臓が跳ねる。思わず膝を付いたその時、頭の中に声がこだました。
―我は汝……汝は我…―
「なっ!?」
―我が力を欲せよ…ー
「なんだ……この感じ……」
その途端、みかげの体から光の粒が湧き出て……形を成してきた。それは………鎧に身を固め、剣と盾を持った、どこかみかげの面影のある、美しい女性の姿だった。