-
↓
-
「はぁ…」
(今日も疲れたなぁ…)
現役高校生で夜まで塾通い。
俺は夜の満員電車で立ったまま目を閉じ、一番隅の壁に凭れて電車に揺られていた。
眠気で首をカクカクさせる俺は、背の高い男が側に来ていた事に気付かなかった。
その男に突然肩を掴まれ、そのまま強い力で引っ張られる。
驚いて目を見開いた俺の視界には、さっきまで自分が凭れていた壁。
背中にピタリと誰かがくっついていて、肩を掴む手は後ろから回されていた。
突然体の向きを変えさせられた俺は身動きが取れず、理解不能な状況に怯える。
(な、何だ…!?めっちゃ密着されてるんだけど…!)
何とか脱出を試みるも、ガッシリと肩を掴む手がそれを許してくれない。
そうこうしている内にもう片方の腕も回されて…男の手は迷うことなく俺の股間に当てられた。
「っ…!?」
(はぁ!?え!?嘘だろおい…!何で触ってんだよ気持ち悪ぃっ!!)
男に男の象徴をやわやわと揉まれ、気色悪さに背筋が戦慄く。
俺の気持ちなど知らない男は、制服のズボンの上から陰嚢や陰茎を鷲掴みにして弄ぶ。
気持ち悪くて仕方が無いのに…俺の体は素直に熱を帯び、陰茎をムクムクと勃ち上がらせた。
(やばい、最近オナってなかったから……っ、)
勉強して疲れてすぐに寝る生活が続いていたので、性欲の堤防に一瞬でヒビが入る。
ビキビキッ…
頭の中で逃げなければと思うのに、体が刺激を欲して言うことを聞かない。
ある意味で、精神と肉体が分離してしまったようだ。
「…っ、は…!」
込み上げる声を必死で抑え、代わりに何度も深い吐息を漏らす。
(ぅ、まずい…気持ちいいとか…ありえねぇのにっ、)
ゾクゾクと体に痺れが走り、男の指さばきに感じ入ってしまう。
ネットのエロ広告でたまに見る、痴漢されたけど気持ち良くて感じちゃう女の子みたいな…そんな状況とよく似ているじゃないか…。
少し違いはあるけど。
俺が抵抗せずに受け身でいたせいか、男の手つきは段々思い切ったものになり、肩を掴んでいたはずの手はズボンのチャックを下ろしていた。
男の荒い鼻息が頭のてっぺんにかかり、ゴツゴツした大きな手が下着の中に入って来る。
「……!!」
男の手は下草を軽く撫でた後、俺の陰茎を包んで緩く扱いた。
普段ならもどかしいはずの動きが、やけに強く感じる。
(自分の手じゃ、ないから…か…?)
しかし時と場所がある。
ましてや満員電車の中なのだから、人に見つかれば大変なことになるに違いない。
俺はもう一度男から離れようともがいたが、陰茎を強く握られて亀頭をグリグリと捏ねられ、一瞬で体の力を抜いてしまう。
「!!」
(ちょっ!そこ、弱いんだって…!!)
ガクッと折れた膝に力を入れ直し、唇を噛み締める。
心の中で抗議しても無駄なのは分かっているが、叫ばずにはいられなかった。
(くっ…さっきまでと、全然動きが違う…っ)
俺が実にわかり易い反応をしてしまったので、男は亀頭を集中的に弄り始めた。
指先で鈴口をほじくり、カリの周辺をしつこく撫でる。
牛の乳搾りのような手つきで茎も扱かれ、男のテクニックによって射精感を高められた。
(で、出るっ!)
「は………っ」
込み上げた吐息を咳のように出すと、体から緊張感が一瞬だけ消える。
その瞬間、俺の陰茎は灼熱を放出した。
ドピュッ、ビュルッ…!
下着の中で…男の手の中で、欲望が爆発する。
白濁が吐き出される度に陰茎が跳ね、俺は体を前のめりにして快感に耐えた。
その際に突き出したお尻が男の股間に当たり、不覚にも男の熱塊を感じてしまう。
すると男は、当たったついでと言わんばかりに股間を押し付けてきた。
(おい…っ!興奮しすぎだろ、離れ…!?)
離れろ!と文句を垂れようとした時、電車の扉が開く音がして人がなだれ込み、離れるどころか押されて益々密着してしまう。
「は……はァ……」
上がった体温と熱気のせいで肌が汗ばみ、俺の息が速く浅くなる。
湿った下着の中で、まだ余韻に浸って脈打つ陰茎を握り直し、男が再び手を動かす。
(イッたばかりなのに…はぁ、ん…)
指にヌチヌチと精液を絡ませて、敏感になっている肉棒を揉んだ。
グチュゥッー!ヌチュ、ジュリュッ!
男は力任せに肉棒を搾るが、精液が潤滑剤として働くためスムーズに手コキができた。
高速で幹をいたぶられ、俺の背筋がビクビクと震える。
「ん……っ、」
張り詰めたカリを男の手が擦る度、肉棒に血液が集中して亀頭が充血する。
射精直後の陰茎を激しく刺激され、快感を通り越して股間が痛い。
痛いを通り越して変だ。
ムズムズした電流が全身に伝わり、肌が粟立つ。
(なんか、くる…!?やば…ちょっ…!!)
射精とは一味違った射精感。
それが下半身で爆発し、尿道にドッと流れ込む。
「ーーーっ!」
パクパクと鈴口が蠢き、鮮烈な稲妻が脳天を貫いた。
体が浮くような快感の激流。
陰茎が焼け付くように熱く、まるでマグマを吐き出しているよう…。
俺は、人生で初めて潮を噴いたのだ。
頭も体も、何もかもがスパークして真っ白になり、射精よりも強烈な快楽に恐怖を覚える。
口の端から涎を一筋垂らし、崩れそうな体を咄嗟に壁に着いた手で支えた。
「ん……は、」
ダメだ…このまま行けば、思考力もショートしてただのバカになる…。
ジワジワとズボンに染みてゆく潮に身震いして、俺は我武者羅に男を振り払う。
もたつく足で人をかき分け、丁度到着した駅で電車から降りた。
(ズボン…お漏らししたみたいじゃねぇか…)
柱に隠れて身なりを整え、電車が遠ざかる音に安堵する。
股間の一部が濡れてしまったのは、まだ何とかなるか…。
(だけど…あんなに気持ち良いことが…って、何考えてるんだ!)
男から逃れて安心したものの、思い出してみればとてつもなく気持ちが良かった。
怖いけど…もう一度味わってみたい…。
心に芽生えた難しい感情に悩まされ、ボー…としながら俺は帰路についた。