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花に華を<水無月の光3>rei
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こんなの、
欲張りすぎだ、ってわかってる。
でも。
今夜、
沙良の声も聞きたい。
長く会えないときは
5分でいいから、あいたいとか
そんふうに思っているのに。
眠る前に笑顔をみて、
おやすみって言えたら
もうそれでいいとか
そんなふうに思っているのに。
そしてそれは心からの気持ちで。
嘘じゃないのに。
「……沙良?つかれた?」
「ちょっと、ねむい……かなぁ。
れいちゃんこそつかれたでしょ…」
「ん。……泳いだ後みたい」
そんなこと言いながらも、
キスをする。
沙良はふんわり応えてくれる。
もうすでに溶けてるから
わたしたちは
すぐに混ざる。
左手で沙良のあたまを
できるだけ優しく抱えて
キスを続けながら
右手を下ろしショーツの上から触れる。
「…あ…れいちゃ、も、寝なき……ゃ…」
「すこしだけ、まだ11時」
徐々に指をずらして
下に滑らせていくと
もう、すごく…濡れてる。
「…っ…は」
おもわず先に声がでたのはわたし。
もう
余裕がない。
「沙良…すご…く、ぬれてる」
言いながら濡れているところを
大きく手のひらで撫でる。
「さっき…れいちゃんの…、
こえ…、聞いてたら
どんどん…な…てきちゃって」
「うん」
「あ…っ……ん…」
「う……ん。それで?」
「きもちよ…くな…っちゃ…、た、の…」
「うん。沙良」
ああもう止められない。
キスをしながら喘ぎながらの
とぎれとぎれのやりとりは
僅かに残っていた冷静さを消していく。
ショーツの上から濡れているところを
やさしく、円を描くように幾度も擦ってから
そっと脱がせて、直接触れる。
ぺちゃ、ぴちゃっ、くちゅ、っと
どうしようもなく
煽られる音が響く。
指をずらして小さな膨らみに指をあてると
沙良の身体が震えた。
「ぁ……っ…… あ 、ん」
指を求めるように僅かに腰が揺れる。
指に押し付けられたそこは
すこし固く膨らんだ気がする。
ベッド近くのライトはつけたままだから
そんな沙良の様子がよく見える。
パジャマの前がはだけて、
身体が揺れる度、可愛い乳首が見える。
あ、「エロい」って、きっと……
こういうかんじのこと。
ごめん
沙良、
もっと見たい。
「沙良、もっと、……みせて?」
「……や」
動かす筈だった指を、そこに触れたまま、止める。
「っん」
沙良が
どうしたらいいかわからない、という
切なくて泣きそうな表情で
微かに声をあげる。
そして、目が合う。
沙良の目の端に
涙がたまって溢れそうだ。
ねぇ、どうするの?沙良?
ただ、優しくしたいのに
どうしてこんな欲望があるんだろう。
「どうしよっか?沙良」
「……ぁ……んっ」
沙良はなにか答えようとするけど
言葉にならない。
みせて、もっと沙良。
指はそこに触れて止めたまま、
耳に舌を入れてゆっくり舐める。
沙良の身体がぴくん、とそれに反応して
たぶん無意識に、腰が揺れはじめた。
あてがわれた指に
沙良が濡れているところを
こすりつけてくる。
そこが、気持ちいいの?
自分から腰を動かす沙良が
堪らなく可愛くて、愛しい。
こんなに…乱れる沙良を
わたしだけが知ってて、
沙良は、わたしを欲しがってくれてる。
「は、ぁ。っ……ぁ……ぁ」
「沙良、
じぶんで、こんなに動かして……。っ……。
きもちいい……?」
「ぁ……や……れい……ちゃ……ぁ
うご、ちゃう…の」
「……ん、うん。うごいちゃうんだね」
「はずかし……い…、っ い」
「ん。沙良、はずかしいね…」
沙良の大きな瞳から
たまっていた涙が零れる。
それは舌ですくう。
沙良の水はぜんぶ美味しい。
沙良が、腕の中で
ほとんど泣きながらなにかを求めてる。
そんな姿を見せられて
がまんできないのはこっちも同じで。
止めていた指を動かしはじめる。
入り口を2本の指で柔らかくかき回すと
沙良の声が
ほんとうに泣き声にかわる。
あぁ。
ど、しよ。
こんなに
めちゃくちゃにしちゃっていいのか、と
一瞬だけ、おもう。
で……も、
止められない。
知らなかった。
こんな欲望が自分の中にあったなんて。
「だ……めぇ……も、っ ……だ、め」
こんなに鳴かせて。
こんなに泣かせて。
沙良、ごめん。
もう、すぐに、おわりにするね。
「ん。いいよ、も、イこう?」
その場所だけを、
すこし強く繰り返し刺激する。
沙良がじぶんの手の甲を噛んで
声を押さえようとするものだから
沙良を完全に仰向けにして
左手で細い両手首を頭の上で押さえる。
首をイヤイヤするように振る
沙良を見下ろしながら
右手で刺激を続けると
声は上がり続け
蜜は溢れ続け
そしてそんなに濡れているのに
中の指がきつく締められていく。
「あ、あ、あ、あぁぁっ」
こんなにも好きにしたら
華奢な身体が壊れてしまうんじゃないかと思う。
怖い。
怖いのに気持ちいい……。
「あ、も…………ぉだめ…っ… あ 、れい…ちゃ」
小さな悲鳴をあげ
細い体が反り返り、痙攣する。
そして静かになる。
「沙良……」
ちいさく震え続けている。
その背中をそっとなでるだけで
沙良の身体は反応して、声が漏れる。
「…、ぁ……」
何かがまだ続いているみたいで
感じてるその表情がたまらない。
髪をなでておでこにキスして
沙良の呼吸が
落ち着くのを待つ。
「だいじょぶ?沙良……?
な、なんかしすぎちゃった……かも」
かもじゃない。
ぜったいこんなの激しすぎた。
沙良は
ぐったりしたまま動かない。
そっと頬に手をあてる。
あ。ねむって……る。
大丈夫……かな。
正直こんなこと、こんなふうに
したことないから、わからない。
でもとりあえず、起こさないほうがいい。
休んで、沙良。
そっと身体を拭いて、
ぜんぶキレイにしてあげても
全然起きない。
沙良ごめんね、つかれちゃったね。
ひさしぶりすぎて夢中に……って
こんな気を失ったみたいにさせておいて
そんな言い訳…。
沙良の頬にそっと、キスする。
沙良が起きたとき、すぐ飲めるように
水のボトルを持ってきておこう。
起こさないように電気をつけずに
キッチンのドアに向かったところで
何かに足がぶつかって
勢いよく倒してしまった。
沙良の……かばん。
中身が散らばる。
こぼれ落ちたのは
吸入スプレー、たくさんの錠剤。
なにこれ。
沙良、なにこれ?
ベッドルームに戻って、
沙良を揺り起こしそうになって
だめだ、と思う。
いまは寝かせてあげなきゃ。
でも、
沙良、
これ、なに?