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はなにはなを⑥you
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さぁて。
唐揚げはね、
何年も揚げ続けてもう得意料理ですよ。
ごはんは3合炊いたし。
ぱりぱりのレタス、ぴかぴかのトマト、
お味噌汁。よし!
ぴんぽーん。
「はあーい」
「こんばんはー沙良」
「新居にようこそ~(社宅だけど…)」
「桃買ってきた♪」
言いながらおでこにキスをもらった。
そのままぎゅうぎゅう抱き締められるけど
……わたし、
唐揚げ、揚げたてをたべるために
まだ揚げてないんです!
「れいちゃん、あの、唐揚げ。
……っ。ちょ、ちょっとま///」
耳にちゅっ、ちゅっ……て、それはなんかもう
ただいまのあいさつじゃない!
なんとか動かした右手で口を塞いでみる。
ぱちくり。(←なんでだめなの?)
そんな可愛く不思議そうな顔しても駄目!
「これから、ごはんでしょ!」
「ハイ……」
あら。しょんぼりした。
恋人になってかられいちゃんは可愛くなった。
昔はスーパーマンみたいで
兄も姉も友達も先輩も、全部兼ねてくれた。
わたしのために、(無理もして)
いつだって精一杯を、してくれてた。
怒ることも泣くことも責めることも
ほとんどなくて
どんなときも、冷静に居て守ってくれた。
でもいまは
対等に見てくれる。
いろんな顔を見せてくれる。
やわらかいところを見せてくれる。
わたし、ちゃんと大人になってよかった。
子供のわたしが、あまりに頼りなかったから
れいちゃんは時々
お父さんのようにすらふるまってくれてた。
「??なにっ///沙良?そんな、見て」
あ。照れた。
「すき、って思って見てたの」
「~~~///沙良~」
!!!!わあっ。
お姫様だっこされた。
「?!れいちゃん?!」
「…10分だけ…」
10分だけ、なにーーー????
そのまま、リビングのソファーに
仰向けにそっと降ろされた。
ぽふっ、と胸に顔を埋めるれいちゃん。
「!沙良っ……」
「なぁに?」
「だめ……でしょ……っノーブラ……」
「だ!だって、暑くて……あんっ」
シャツの上から指でなぞられる。
あ。れいちゃん、
さっきまでの「可愛い」が消えて
綺麗な動物の目になった。
どうしよう、
そんなつもりなくても胸が勝手に反応してる。
こうなってしまうとノーブラが
はっきりくっきりで、恥ずかしい。
「沙良、ここ…、かたく、なっちゃったね」
指先でくるくるしながら
れいちゃんが言う。
「ん……ぁ……れいちゃんがした……」
「そ、だね」
くすっ、と笑うれいちゃんはやっぱりセクシーで。
「ん……ぅ」
シャツの上から口に含まれて
舌で、だんだん湿っていく感覚。
そっと噛まないで。
直接じゃないこの、かんじ。
はじめてで、頭がしびれる。
そんなに、じっと見つめないで恥ずかしい。
「ぁふ……あぁんっ」
「きもち、い?沙良」
「あっ、ん。っい、……だ、め」
はぁっ、と深い溜息が聞こえる。
そして、ごくり、と喉が動くのが見えた。
「沙良……」
「な……に……?」
「いま、10分(。•́︿•̀。)ー」
そうだった!ごはん!
「…、揚げなきゃ……っ、ちょっとまって…、
う…、ちからがはいらない…」
「♪あ!じゃあ最後までしよう。
それから沙良、やすんでて。
唐揚げはわたしが揚げるから。それで全部解決」
すごいキリッと言われて
流されることに決定の夜。