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はなにはなを⑦rei
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いま?
うん、いまは反省&反芻しながら
鶏肉揚げてる花男、19:50。
オープンキッチンなので
リビングのソファーが見える。
ソファーの上でタオルにくるまって
沙良は眠ってる。
ご飯食べてないのに……。
起こしたくないけど……。
食べた方がいいけど……。
そもそもわたしが…来るなりアレコレしたから
寝ちゃったわけで。
はぁ。なんで我慢できなかったんだろ。
はぁ。かわいい寝顔だなぁ。
このまえ電話で
「そばにいく」って言われて
詳細を聞こうと思ってる間に
メッセージが来た。
「しばらくれいちゃんの下の階に住みます」
そして昨日、本人が来た。
それはね………携帯落とすよね。うん。
驚きと嬉しさで。
肉、こんがり揚がった。火を止めてっと。
うーん、いいにおい。
「……ん、いいにおい……」
「沙良?おきた?」
「れいひゃん、いまなんじ?」
(ぅわ…寝ぼけてる……かわいい…)
「もうすぐ8時だよ、ごはんにしよ?」
「う…ん」
駆け寄ってくる沙良が
素顔のせいもあるけど
寝起きのせいもあるけど
あどけなく見える。
そのまま背中にくっついてきた。
「だきついた!」
面白く、ねぼけてる…。
「沙良……?どうせなら正面から…」
「はずかしい」
「………いまさら……?」
「急に、きて、びっくりした?」
「した」
「うん……ごめ
「来てくれて、びっくりした。何より安心した」
「……」
「沙良がほんとに心配で、
でもLINEとか電話で重い話するのも怖くて、
なんにもないふうにしてて
でも……心配で、おかしくなりそうだった」
「うん」
「…詳しい話は聞かなきゃだけど……
いまひさしぶりに、やっと、ほっとしてる」
「ん」
お腹に巻き付いてる小さい手を
きゅっと握ってから
ほどいて、
正面で向き合う。
沙良がにっこり。
つられてにっこり。
沙良ほんとにやせちゃったな…。
でも今日、顔色はいいよね。
…根拠ないけど大丈夫な気がしてきた。
だって沙良はわたしの
勇気の女神。