-
花に華を《白菫色》you
-
月曜日の祝日。
もういちど日比谷に行った。
2回も観ることはあまりないのだけど。
絵師のれいちゃん。
おんなじ職業なんて
もう2度とない気がして。
れいちゃんリノは今日泣いてた。
涙がきらきら光ってた。
わかる。
お芝居のひととして悲しくて。
それから
……
れいちゃんも泣いてた。
家で待ち合わせだったから
ごはん炊いて
唐揚げ揚げて
豚しゃぶサラダと
お豆腐のお味噌汁も作って
ふたりでぜんぶ、たいらげた。
「沙良?」
「なぁに?」
「満腹なのに難しい顔してる……。
ね、あしたお休みだよ♪なに食べたい?」
「え、えっと、ね」
(今お腹いっぱいでひらめかないよ?!)
れいちゃんが手を引っ張って
わたしを引き寄せる。
……すっぽり抱かれて
あったかい。
でもわかるの。
れいちゃんが悲しいでしょ。
どうしてかは、わからないけれど。
「れいちゃんっ!」
「なに?」
「泣いていいよ!」
見上げるとれいちゃんのびっくりした顔。
「沙良、?」
「だってわかるの」
「んー。そっか……」
れいちゃんは泣かないで
珍しくぽつりぽつり、話してくれた。
……
いろんなことがあるんだ。
ずっと頑張っても舞台に
出られなければそこまでで……
……いつだって
穴はあけられない。
なんか、ね。
先週から
めずらしく色んなこと
かんがえたんだよ、
でも
……心配しないで沙良、
「あいしてるから!」
「あれ…いまの話の…結論……?」
「ん。そだよ」
平然とクールに
さらっと答えるれいちゃん。
ぜったいなんか、違う……!
でもそんなに自信ありげに言われると…
ついこたえてしまう。
「///わたしも。れいちゃん」
「ん……///まず沙良を食べて、
それから……デザート食べて、
お風呂で明日のごはん計画を考えよっか♪」
「……れいちゃん」
「ん?」
「今夜はmy turnなの」
「……え…?」
最近わかってきたの。
れいちゃんを気持ちよくするための
すてきなやりかた。
今日はぜひ、したいとおもう。
見つめると
れいちゃんの、ほっぺが赤い。
「れいちゃん♪リラックスー」
始めましょう、
お休みの前の夜を。