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花に華を《深支子》rei
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「沙良は、濡れてないの?」
欲望っておもしろい、
そんなことを数秒思って
沙良の、
そこに触る。
「あ」
熱くて、もうぐっしょり、で。
気持ちよくて、気持ちよくしたくて、
あなたが欲しくて。
お互いにそんなふうに思えるのって
しあわせで怖い。
「沙良…、っ…すき…だよ」
「れ、いちゃん」
抱き合って、熱いところを触り合って
気持ち良くて頭が真っ白になって
沙良と、わたしの
声が重なって。混ざる。
どちらの声か、わからなくなる。
気付いたら
腕の中でくったり、沙良が眠ってて
熱い身体を起こさないように抱き締める。
安心しきった子猫みたいな
柔らかい肌を撫でて確かめる。
…ほんと、ふわふわだなぁ。
沙良の近くにいたい。
この手を放したくない。
ずっとこうして、居られるよね?
だって何も問題ない。
実家は近所だし、
沙良は
わりと自由に関西の仕事を入れてくれるし
…ライバルも、居ないし(多分)。
体調は…喘息の発作があるけど
最近よく飼い慣らしてる、って
笑って言ってたし。
いま、腕のなかでよく眠ってるし。
大丈夫。大丈夫。
…
なんでいつもどこか不安なんだろう?
隙間がないほど、こんなに近くにいるのに。