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花に華を《Dendrite》rei
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沙良が心配そうな声になった。
「れいちゃんこそ、どうしたの?元気ない?」
…会いたすぎて
沙良に触れたくて
キスしたくて、頭がいっぱいに…とか言ったら
引かれる…かな。
「ごめん、なんでもない!!!
会いたくて、つい、なんか…。」
「…えっと、実は東京は無事終わって、
戻れそうなの…お土産、なにが…」
「!!え!」
目の前が薔薇色に、って。
本当に世界の色が明るくなった…ように、
見える。
「迎えに行く!何日?何時?」
「え、忙しいでしょう?
全然…慣れてるからひとりで…」
「行くよ!」
沙良の笑い声。
この声が聞きたかったんだ、と気付く。
電話じゃないなら、もっと嬉しい。
「あ、で………でもっ」
「うん」
「提出するものがあって、ね、その…、」
「???」
「お泊まりは、しない!」
「の?」
「………」
沙良の困ってる顔が目に浮かぶ。
可愛い。
「そんなの、気にしないで
会えるなら嬉しい」
「う、ん!」
桃…、この季節は缶詰めかな。
でも苺はある。
沙良の好きなもので
冷蔵庫をいっぱいにしておこう。