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花に華を《Triangular Crystals2》rei
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沙良はいちど達すると
すごく感じやすくなって
次はあっというまにイッてしまう。
「………ぁ、……」
「なぁに、沙良っ、…、イイ、の?」
腕のなかに居てくれる幸せ。
「も、だ…、めなの………」
「沙良、だいすき」
「あ、………んっ!!」
そのときの声も表情も
震えも甘い匂いもなにもかもが
愛し過ぎて困る。
こうしていると
自分のものだと確信できて
いま一緒にここにいる、って実感できて
頭が痺れるように気持ちよくて
止められなくなる。
ほんとに
ひさしぶりすぎて。
もうダメ、と言う沙良に
幾度も幾度も、最後の声をあげさせる。
沙良は、いつも
自分を抑える癖があるから。
わたしの指をきゅっと、締め付ける圧力や
ぴん、と緊張する爪先や
薄く閉じて涙が滲んでいるような目もと
なにもかもぜんぶが
言葉より正直に教えてくれる気がして
制御できない。
大事な沙良。たいせつなひと。
失いたくなくて。
ずっと、凄く、こわくて。
こんなに幾度も幾度も抱いて。
恋って
好きになるって
自分のナカを覗き込むことかもしれない。
暗闇も覗き込むことかもしれない。
…結果、綺麗なことばっかりじゃないな。
心配、不安、戸惑い。
それから…独占したい欲。
「沙良…」
小さく腕の中で震えている身体が熱い。
甘い香り。
腕をとって、傷にそっと口づける。
「ごめんね、沙良。こんなひどい傷」
沙良は
聞こえているのかいないのか
目を閉じたまま。眠っちゃった…かな。
そっと頭を撫でながら考える。
駅の階段で押されるとか。
《なにそれ?》
………頭とか打たなかったから
いまこうして居られるけど。
でもそんな可能性もあった。
手首の近く。
こんなところ切ったらすごい出血のはず。
救急車だったのかな…。
《呼ばれはしない決して》
《舞台からは降りられないのだから》
髪を撫でて頬にキスする。
「…ん」
「沙良、もう、1回シャワーする?
眠たかったら、電気消そうか?」
「ん…ねむ、い」
「うん。 沙良 、おやすみ」
リモコンに手を伸ばし
電気を消す。
腕のなかには沙良。
いまわたしの世界のぜんぶがここにある。
《わたしのせいで、ひどい目に遇った》
「沙良、あいしてる」
…ホントなんだよ。
あ。
ヤバい。
目から落ちる涙が
沙良の頬に落ちないように
身体の向きを少し変えた。