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花に華を《降水確率100%》rei
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「え!?は?!れい?!戻ってきたん?!」
みなみが目をまるくする。
はいそうです。戻りました。
「すごくうまく説明して皆さん、いま見送ったとこ」
「ゴメン。ありがと……」
「……れい?」
「…………」
「ここで涙ぐむのはあかん。
沙良ちゃん、
……まさか、ひとりで帰した?」
「…………うん……」
情けなくて顔をあげられない。
「さっきの、腹立つのはよく解るけど…
あの男にヒアリングしといた」
「え?」
「お酒飲めないって断られたけど
お持ち帰りしたくてナイショで
烏龍茶にがっつり焼酎混ぜた、って。
あと、合コン設定も秘密だった、と」
「……」
「前に広告の打ち合わせしたときに見かけて、
可愛かったから、仕事絡めて呼んだって。
会うのは初めて」
……。
ほんとは
わかってた。
いつだって
わかってるんだ。
沙良に非がないことなんて。
知ってる。なのに。
泣けてくる。
みなみの、的確な優しさが
ありがたい。
「れい?」
「……好きすぎて……」
「うん」
「ときどき、
すごく頭悪くな、る。
心も狭くなる。
だれにも触られたくない……」
「わかる」
思いがけない
みなみの答えに、
はっとして顔を上げると
見たことない顔のみなみが、いた。
…そっか。わかる、か。
「みなみ…わかるの?」
「わかる」
「意外」
「失礼な。はやく行きぃ。
体調悪くしてたら、危ないし」
「……ありがと」
「あ。でも。
れいだって女子なんだから気を付けてな!」
すごい男前に肩をたたかれた。
でも、ちょっとまって。
「…………みなみもね?」
「!」
「『!』じゃないでしょ…」
「まぁまぁ、明日は午後からだから
たっぷり、ゆっくりできるな」
「…うるさいよ?」
「すっかり元気や、な」
「復活。ありがと」
みなみは冷静さをくれる。
いつだって感謝しかない。
さぁ。
急ごう。
さっき離した手を
しっかり、つかまなきゃ。