-
花に華を《春暁》 you
-
『よる。いくね』
慌てて打ったのがよくわかる
LINEのメッセージ。
れいちゃんからだ!
『うん(*・ω・)まってるね』
短く返してみる。
殆ど外出していない
この春の日々。
自宅待機しながら
勿論、締め切りはあって
思ったより暇ではないけど
なんだか少し心が苦しい春。
れいちゃんから
「健康のため」と
命じられたストレッチを
忠実に行っていたら
ずいぶん体が柔らかくなった。
それからボランテアで
オンライン絵の先生にもなった。
そんな春。
れいちゃんからは
頻繁に連絡がくる。
短く、ときに長く。
ときに雑に、ときに丁寧に。
「ごはんたべた?」「咳出てない?」
「梅が咲いてる、写真送るね」
「めちゃめちゃつかれたよー」
「人混みにぜっったい、いかないようにね」
フロアが違うだけの、
ものすごいご近所だけど
この3日は会ってない。
わたしは、静かにしている。
きっと、とても大変なれいちゃんに
できるだけ心配をかけたくない。
どんな些細なことでも。
微かに、ひゅぅ、っと呼吸の音がする。
どうコントロールしても
この季節は仕方ない。
そのうえ、
コロナウィルス、とか言われたら
もう自分で自分を監禁するほかない。
コロナさん、
たぶん死ぬやつですよね、
わたしのような者は。
………………それでもなんでも
やっていかなくてはならない。
れいちゃんに会えるのは、嬉しいな。
嬉しくなったら
急に眠くなった。
昨日は怖い夢を見てあまり眠れなかった。
ベッドカバーのうえに
横になる。
うん。
10分だけ。