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かさねる
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サユミに抱かれている時間は
この世のものではないようで
……最期はふわふわの
ラッピング用の不織布を敷いて
ふたりとも裸で床に横たわっていた。
……なんて光景。
お店は散らかり
花も乱れ、わたしたちも乱れ
サユミは不思議。
散った花びらも
ブラインドからのストライプの光りも
それすら似合って
ぜんぶが彼女の味方になる。
彼女の為の背景のように。小道具のように。
「ねぇ、朔、これ誰がしたの、痛いでしょ」
「……夫」
サユミの穏やかな表情がすっ、と無くなって
とても、不思議な気持ちになる。
会ったばかりのサユミが
わたしの心配をしてくれている。
でもわたしは……心配なんてさせたくない。
あなたの悦ぶ顔が見たい。
「わたしもあなたを抱きたい」
「……う、ん」
たちまち頬が赤くなる。
あんなに、大胆だったのに。もう。
「サユミの恋人は女性ね?」
「……いま、そのはなし?」
「ええ」
きっとわたしはその人のことがすき。
だって素敵な人に決まっている。
「どんなひと?」
「いま……する話かなぁ」
「すこしだけ」
「えっと……真面目で情熱的」
良かった。そうでなきゃ、嫌。
「サユミ、ちょっと目を閉じて」
静かに従うサユミの耳と首に
キスの雨。
「は……」
だんだん感じてきたサユミが
溜め息をつく。
すこしだけ苦しそうな表情は美しくて
……その先を見たくなる。
キスはだんだん下に。
「……っ、朔、あ……」
辿り着いたそこは
もう蜜が溢れていて
ぷくり、とふくらんだところに
舌をあてるとサユミが震えた。
ゆっくり、舐める。
わたしの髪を撫でるサユミの手の動きが
気持ちよさを伝えてくれて
舐めているわたしも気持ちよくなってしまう。
「朔っ、も、う……っ」
「まだ、いかないで?」
舌を離す。
指をあてて優しく震わせる。
「……さ、く、朔……あ、っ」
「きもちいい?」
「ん、ん、っ、すご、くっ」
濡れて震えているそこに
舌を差し込む。
話す声もすてきだけど
ため息混じりのいまの声も
すこし掠れて、素敵だ。
「可愛い、サユミ」
「朔っ、いじわる、しないで……いか、せて」
「意地悪じゃないの、
もっと気持ちよくなって」
舐めながら
左手の指を挿れる。
いっぽん、にほん。
簡単にはいってしまって、
静かな店にサユミの、水の音と呼吸が響く。
腰が動きはじめて
なんとも艶かしい。
もう限界なのが伝わってくる。
わたしも、だけど。
同じ場所をすこしだけ強く擦る。
「朔っ、……あ、ん、ああ」
彼女の身体は
綺麗に弓なりに反って、
震えながら、しがみついてきてくれた。
背中が、痛い。
でも甘い痛み。
ふたりともくたくたで、
でも満ち足りていて。
どちらからともなく、もう1度
くちびるをかさねる。