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春で1時間使って駄文書いてみた。「最前列で君を守ろう」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
45分
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○春は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
いつからだろうか、彼女と目が合わなくなったのは。いいや、視線自体は合っている。ただ、あの瞳には自分が映っていないような、あの不可思議な感覚。
まるで、画面越しにあいを見ているような感覚に陥るようになったのはいつからだったか。
あの細く、小さな体に詰め込んだ可能性や、光に気づいて歌手へと誘導したのは春だ。最初は躊躇したが、結局体が勝手に動いていた。あの手を引かずにはいられなかったからだ。
ああ、あの、細く小さな体から可能性や光以外に悲嘆や辛酸といったものを感じるようになったのはいつだった?
大抵の事では折れない。目的を失わない。あいを輝かせるためならばどんな努力だってしよう。そうだ、自分はいつだってあいと共に在る。
それなのにどうして。あいの口から引き出せるのはいつも、強がる言葉なのか。何故、どうして。弱音を吐かせてやれないのか。
「ーーーー神堂さん?」
ふと、春が深い思考から戻ると既に目の前で準備を終えたあいが立っていた。
春は今、スタジオへと移動するために車であいを迎えに来たところだ。あいが降りてくるのを待っていたのだが、これほどまでに近距離のあいに気づかなかったのは重傷だ。
案の定あいが不安そうに春を見上げている。あいの瞳は気遣うように揺れていたが、透き通るように澄んでいた。春はその瞳に見つめられ一瞬、目を瞠るが直ぐに視線を地に結び付ける。
「……大丈夫ですか?」
「いや、問題ない……乗ってくれ、」
助手席を開ければおどおどと恐縮しながらも素直に乗車するあいに自然と笑みが零れた。あいは緊張で表情を固めていたが、現地には冬馬も夏輝も居るのだからきっと問題はないだろう。きっとあの暖かな雰囲気でフォローに入ってくれるはずだ。
先ほど悩んでいた事には蓋をして、今からあいに歌って欲しい譜面を頭に浮かべる。脳内では何度もシミュレーションをした。実際に彼女が歌ったらどんなふうに聴こえるのか。
早く聴きたくてたまらない。そんな逸る気持ちを押し込めてゆっくりと。あいを安全にスタジオまで運ぶことに意識を集中させる春だった。
「他の皆さんも今日は居るんですよね?」
「ああ……もう揃ってるはずだ」
ここに来るまで会話も少なく、あいの挙動も強張ったままだ。あまりにも哀れな様子だったので、春はなんとか会話を試みた。言葉を投げかける事は出来たのだが……どうもそこから続かない。
会話を続けたいとは思ったが、言葉のキャッチボールをしてもお互い暴投するどころか投げる事すら出来ずに手元にボールがあるまま。
これは早く他のメンバーのところまで行った方があいが落ち着くのかもしれない。春が気持ち速めにスタジオへと足を運ぶと、小さく……かすかに声がした。通常では聴こえない程度の声だったが春の優秀な耳には確かに聞こえた。
「JADEにどうやって取り入ったのかしらね?」
「大した才能も無い癖に、」
このような輩は相手にしたところで仕方ない。だが、あいは自分とは違う。
聞こえてしまっただろうか?聞こえていなかったら良い。
そう願いを込めてあいを振り返るが、春と目が合うと肩をすくめて苦笑いをしていた。
「戯言だ。気にしなくて良い、」
あいを動揺させまい。そう思い咄嗟に紡いだ言葉はあまりにも無力で。気にしない、なんて。人に対して優しく、心を砕いてばかりいる彼女には無理だと理解していたのに。解っていたから自分はあいを振り返ったのに。
なんとかあいの心を軽くすることは出来ないのだろうか?言葉では無理だとしても、今の春に出来るのは言葉と心を尽くす事だけ。それなのに、次に発する言葉すら思い浮かばず、ただ舌だけが口内でかすかに踊っただけ。
しかし春が言葉を選んでいる間にあいの顔が笑みを形作る。まるで、あいを気遣う春を安心させるように……こんな時にまで彼女は人に対して心を遣うのか。春の心が鈍く軋む。
「大丈夫です、そういうのひっくるめて覚悟してるつもりです」
その瞳には弱音も、悲嘆も映ってはいなかった。
まるで百獣を思わせるような。強い意志の籠った視線……それなのに。
「だから、気にしなくて大丈夫です」
にこ、と笑った彼女はとても強く映る筈なのに。
どうして今にも崩れ落ちそうなのか。何故そんな事を口走らせてしまったのか。
あいは強いのかもしれない、だけど。彼女はとても優しい。何故なら弱さも併せ持つからだ。
「君は、」
どうしたら、彼女の弱音を引き出せるのか。もっと言葉を尽くせば安心して弱音を吐けるのか。
例えば、冬馬のように明るく。例えば、夏輝のように優しく。例えば、秋羅のように包容力があれば。
愚問だ。春は春以外にはなれない。春は自分のやり方であいの信頼を勝ち取らなくてはいけない。
こんな、悲しい嘘はつかせてはいけない。絶対に。
引き寄せて、彼女の一番深く柔い心の中心に触れたい。
守らせてほしい。出来ればずっと。
「神堂さん?」
この感情をほどいてしまって良いのか。
ほどけばどんな感情が出てくるのか。もう答えは出ているのに。
「俺は、」
最前列で君を守ろう