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アーサーで1時間使って駄文書いてみた。「この心臓が鳴り止むまで」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
75分
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○アーサーは偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
愛しいアーサーへ。嘘ばっかりで、好きじゃないって大騒ぎしちゃうような私を選んでくれてありがとう。
きっと私が気づくより前に、私の恋心に気づいていたんだと思う。だってアーサーは人の心を読ませたら天才だもんね。
優しい人、愛しい人。どうかこれからもよろしくね。きっととてもとても長い時間を一緒に過ごす事になるんだろうから。
「あいー? 準備は出来てるの~?」
「うん、出来てる……て、そんなに荷物ないけど。アーサーは?」
「うん、まぁ紙とペンと財布があれば後はどーとでもなるよね~」
「そうだけど……でも2泊はするんでしょ?」
「まぁね」
陽だまりに包まれたアーサーの部屋のベッドの上。色んなものが入りそうなカバンにシャツやら紙やらお気に入りのペンが入っている。
別に旅先で執筆はするつもりないが、ネタが思いついたら書き残しておきたい。思いついた瞬間が一番、言葉に感情が乗りやすいものだから。
しかし彼から作家としての熱い思いは感じとれない。いつも通りに軽く、アーサーは口笛を吹きながら大きなカバンの中に適当に持ち物を入れて行く。その中に何故かアーサーはコーヒーカップまで入れ始めた。何故?
「アーサー、カップは多分旅先で借りられるんじゃない?」
「んー……でも、コイツはあいがいつも珈琲を淹れてくれるやつだから」
時には筆を持っても進まない日もある。しかしそんなときにあいがこのカップにアーサーの好みにだけ配慮してくれている珈琲を淹れて持ってきてくれるのだ。
執筆に行き詰ってもこのカップで珈琲を飲むとピン、と何かが閃く事もある。この前自分でもあっと驚く仕掛けを思いついたのもやっぱりあいの珈琲を飲んで数秒後の出来事だった。
「でもアーサー、割れちゃうかもよ?」
あいがアーサーに用意したカップは特に特別なものではなく、正直あいのお小遣いで買えてしまう程度のものだ。
持ち運んで割れても仕方がない。あいが割れる、と口にするとアーサーは少しだけ躊躇をするが直ぐにまたカップをカバンに戻す。
「大丈夫デショ、ちゃんと布に包むし」
「そんな事しても私、出先で珈琲淹れられないかもよ?」
「イイの、だからせめてこのカップで飲みたいんだし~」
枕が変わると眠れない人のような事を言うアーサーにあいが脱力する。しかしそう長旅をするわけでもない。ちょっと近場で綺麗な湖畔を見に行くだけだ。
伯爵たちとそう長く離れるのはあいとしても不安だったのもある。アーサーがヘマをするとは思わないし、いざとなればあいが血を与えれば問題はない。
だけど、ルージュが常に手に入る訳でもない。あいの血が無限に流れる訳でもない。かと言ってアーサーに他の人の血を吸っては欲しくない。それでもアーサーに何かあったらあいはどうしていいかわからないから、近場を希望した。
「アーサー、とりあえずカップは置いて行こうよ。荷物かさばるし……」
あいが控えめに提案をすると、アーサーが少しだけ悩んでから悪だくみ完了した、とばかりにニヤリと笑う。あ、これはマズイ。イケナイ引き金を引いてしまったのかもしれない。
「じゃあカップは諦めるケド……あい、口移しで飲ませてくれる?」
ほーら、しょうもない遊びを始めた。しかもここぞとばかりにフェロモンを全開にしている。あいは困り顔をしつつ近寄ってくるアーサーの顔に手のひらをあて、彼から距離を取ろうとする。
しかしそれで納得せずに、アーサーがあいの背後から覆いかぶさりキスをせがむが……またもアーサーの唇はあいの手の平にキスを落とすだけだ。
「ダメ。私、ブラックそんなに好きじゃないもん」
「えぇ~? あいの口移しで飲めるなら甘いのでもイイのに、」
「いーやったらいーや! でも……、」
仕方ない人、愛しい人。私はあなたに何かを言われれば嫌とは言うかもしれないけど、結局は敵わないの。仕方ないでしょ、昔から惚れた方の負けって言うもの。
だって私は貴方が好きで好きで仕方なかったんだよ。私が全く知らないところで。歴史上のアーサー・コナン・ドイルに対して今まで、興味なんかなかったのにこの時代まで飛んできたなんて……私ってどんなに一途なんだろう?
普通、タイムスリップなんてそうそう出来ないから。ロマンチックな気分に浸って何が悪いの?今までいつか運命の人が地球の裏側からやってくる……なんて。冗談で言ってたけど、まさか時を越えて自分で会いに行く日が来るなんて思ってなかった。
「アーサー、珈琲は淹れてあげられるか解らないけど……キスはたくさん出来るよ?」
へへへ、と。真上にあるアーサーの顔を見上げてあいが笑う。そんな彼女にアーサーは目を見開いて、でも、直ぐに目を細めてこそばゆそうに笑い出す。
ああ、この体勢のままだとあいの唇にキスはし辛い。ならば額にキスを落として、あいを抱き上げてキスをし直せばいいだけの事。
体勢を変えようとするが、しかし。腕の中のあいが嬉しそうに笑みを深める。ああ、何が嬉しいのか。アーサーにはわからないけれど、あいはとてもとても嬉しそうだった。
「ね、アーサー……これからもよろしくね、」
アーサーは腕の中のあいの笑顔に見惚れて、そのまま目を合わせたまま。
あいの嬉しいという気持ちが感染して、広がって、まるで毒のように指先を痺れさせて。
「こちらこそ、よろしくネ、」
なんて、伝えるのが精いっぱいで。あいはとても幸せいっぱいだった。これから彼とハネムーンへと行く。ささやかでも、小さくても。あいにとってはとても大きなことだ。
こうやって抱きしめられているのも幸せだ。彼が少し屈めばあいのおでこに唇があたるのもそれはなんだかとても幸福な事のように思う。
だって、下手をするとキスが届かない人たちも居るかもしれないのに。あいはアーサーを見上げれば簡単にキスが貰えるのだ。これを幸せと思わない程あいは贅沢ではない。
だからね、アーサー。これはきっとね。
神様がそうやって私たちを誂えてくださったに違いないの。
ちょっと手違いで違う時代で生まれちゃっただけで。それだって私、ちゃんと越えてきたでしょ?
運命の人に出会った、王子様が現れた、なんて。周りの女の子がどんなに浮足立ってても私は焦らずに真っ直ぐ、アーサーの元へと歩いてきたよ。
出会った時はちょっと素直になれなかっただけで。あの日、あの時。あの場所で、ちゃんと奇跡を起こして導かれるようにここまで来たんだから、褒めてくれていいでしょ?
だからもう出会った時にたくさん憎まれ口叩いたのは帳消しにしてね。そもそも、アーサーが私に会いに来てくれても良いのに私から来たんだから帳消しにしてくれないと嫌だ。早く忘れて。
こんなに貴方に一途な私をどうか大事にして。私には永久保証なんて付いていないけど、アーサーよりも先に呆気なく死んじゃうかもしれないけど。
その分私、心臓一杯鳴らしながら取りこぼしのないようにあなたを愛して生きていく。最後に息を吐き出す瞬間だって、アーサーの事大好きって言いながら死んでいくんだから。ちゃんと見てて。目を逸らしちゃ嫌だよ。
私がどんなに年を取って、しわまみれになっても絶対によそ見はしないでね。私が死んだあとならしょうがないけど。私が生きてる内は私の事ちゃんと騙し通してね。
後、私が珈琲を淹れてあげられなくなっても、ちゃんと好きって言って。それまではマグカップに私の愛情が染みるくらいに何度でも、何度でも。誰よりもアーサーの好みの珈琲を淹れてあげるから。
これから、きっと。とてもとても長い時間を一緒に過ごす事になるんだろうから。私にとって、アーサーとこの世界で生きる事そのものがハネムーンみたいなものなんだから。
「たのしみだなぁ、」
愛しい人、大好きな人。どうかこれからもよろしくね。
この心臓が鳴り止むまで
心臓が鳴り止んでも、ずっと